11月
13
2011
当院では治療に際して腰のレントゲン撮影をさせていただいています。また他院において腰のMRI,と3DCTを撮って来ていただいています。勿論診断・治療に必要だからお願いしているのですが、今日はなぜ必要なのか?をお話しいたします。
○レントゲン撮影の目的
レントゲン撮影の目的は『骨の形の変化を影絵で見ること』です。
また発展形として動態撮影というものがあります。これは身体を前にかがませたり、後ろに反らせたりさせて撮影します。それにより身体が動いた際に骨がどのように動くのか、骨がどの程度緩んでいるのかをみるために行います。
○MRIの目的
MRI撮影の目的は『神経・椎間板・軟骨をみること』です。レントゲンでは写らないこれらを見るために撮影します。また骨も同時に写ってくるので、これらと骨の位置関係もつかめます。
さらには、これら組織の質的状態も見ることが出来ます。例えば炎症症状や骨折が何時起こったものなのか、新しいのか?旧いのか?をある程度推測することが出来ます。
○3DCTの目的
3DCT撮影の目的は『骨の詳細な変化をみること』です。レントゲンは影絵のため、形の変化が骨のどの部分にあるのかが判りません。その点3DCTは3次元なので、立体的に“どの部分”が“どの方向”に“どれだけ”変化を起こしているかがわかります。
しかしレントゲンの動態撮影のように身体を曲げての撮影が出来ないため、レントゲンと補足しあって見ていく必要性がでてきます。
また椎間板の石灰化・骨化も写ってきます。
このようにして、3種類の検査はそれぞれ特徴があります。よって完璧な検査はありません。それゆえに患者さまには撮影のお願をする必要があるのです。
しっかりとした診断・治療には、しっかりとした検査は欠かせません。
11月
12
2011
前回に引き続き、肥満手術のお話です。
今日は肥満外科手術の効果についてのお話です。

○良好な成績です
手術後の長期的な体重減少は、内科的治療(内服・食事・運動)と比べ良好な成績を残しています。
また死亡率も減少し、長期的に見てとても健康に寄与する治療といえそうです。
○合併症への効果は?
術後、糖尿病の治療から解放されるのが60~80%、高血圧が40~60%、高脂血症が60~90%といわれており、とても良好といえます。
日本ではまだまだ一般的ではないこの治療も、海外ではどんどんやられています。
医療費削減にも良いとされており、今後国内でも広がりを見せるのかもしれませんね。
11月
11
2011
当院では既にインフルエンザワクチン接種を開始しています。
カゼ症状のない方、卵アレルギーのない方には、生後半年からどなたも接種可能です。
なお、公費負担のある高齢者の方は、旧海部郡(現在の愛西市、弥富市、あま市、大治町、蟹江町)津島市の患者さまに限らせていただきます。
名古屋市の高齢の患者さまには自費による負担となってしまうので、名古屋市内での接種をお勧めいたします。
11月
11
2011
病的に太ってしまった方に対する胃の縮小手術があります。要するに食べる量を減らしてしまうわけですが、今日はその肥満外科手術についてです。

○どんな方に行うのでしょうか?
アジア圏の方の手術適応は、アジア太平洋肥満外科学会が提唱している基準があります。それによると…
①BMI37以上
②BMI32以上で糖尿病を持つ者、またはそれ以外の肥満に起因する疾患を2つ以上持つ
者
とされています。
○特に糖尿病がある方に…
また国際糖尿病学会は外科手術の独自に基準を提唱していて
①BMI35以上で2型糖尿病を持つ者
②BMI30~35以上で内科治療抵抗性の2型糖尿病は外科治療を治療のオプションとして考えるべき
③アジア人に対してはWHOのaction cutoff point の考え方に即して上記よりもBMIを2.5引いた値で考えるべきだ
としました。
次回は手術効果全般についてです。
11月
10
2011
生活習慣病という言葉をご存知かと思います。糖尿病や高血圧のように、食生活などが影響して慢性疾患を患ってしまうことですが、アトピー性皮膚炎もその側面があります。
今日はアトピー性皮膚炎と生活習慣のお話です。
○部屋の掃除をしましょう
アトピーを患ってしまっておられる方は、血液検査をするとハウスダストとかダニにアレルギー反応を示す方が多くみえます。この場合は、まず部屋をきれいに掃除をしていただくことから始めます。
○花粉症にも注意をしてください
特に春先になると花粉が飛散します。アトピー性皮膚炎の患者さまは花粉症を同時に患っておられる方が多いので、それに対応する必要があります。
マスク・メガネでしっかりブロックをして、洗濯物を外に干さないようにすることが大切です。
○洗いすぎもいけません
原因を除去する必要があるのでしっかり身体を洗う必要があるのですが、あまりにもゴシゴシ洗いすぎるのはいけません。皮膚が傷つき、そこから原因物質が入ることで皮膚症状を悪化させることがあります。やりすぎは気をつけなくてはなりません。
アトピー性皮膚炎に関する内容についてお話をしてきました。
11月
09
2011
今日は前回に引き続き、アトピー性皮膚炎の治療のお話です。
○ステロイド軟膏が大切です
治療はステロイド軟膏がまずは出発点となります。
当然前回お話しさせていただいたように『アトピー性皮膚炎の治療ガイドライン』にそってステロイドの強度を決めます。ただし、マスコミのミスリードによってステロイドに対する偏見が根強く残っています。そのため我われ医師にはステロイドの強度や塗る範囲・量をきめ細かく対応が求められます。

○プロアクティブ療法という考え方
ガイドラインにそって治療が行われ皮膚症状が収束してきたらといってすぐにステロイドを止めるわけにはいきません。
近年、プロアクティブ療法という考え方が出てきました。それは週2回ステロイド軟膏を塗り続けることでいわゆる寛解状態を維持することです。
次回は生活生活における注意点です。
11月
08
2011
今日はアトピー性皮膚炎の治療に関するお話です。現在アトピー性皮膚炎は『アトピー性皮膚炎の治療ガイドライン』に沿って行います。
それを前回のお話しの続きの“治療の3本柱”に沿った形でお話しいたします。

○かゆみ対策
痒みに対してはまずは抗アレルギー薬を使います。
これは痒みの元である、体内で起こる痒みのメカニズムをまとめて抑制する効果を持ちます。
また、抗アレルギー薬は連続して内服することで“かゆみの予防薬”の効果があることが分かってきました。
○皮膚症状の改善
皮膚症状の改善にはステロイド外用薬を用います
皮膚を元の状態に戻してあげることが主な目的ですが、かゆみ対策の側面もあります。
それはかゆみがると皮膚を掻いてしまい、掻くことで皮膚症状が悪化してかゆみが増強して…という“かゆみの悪循環”を断ち切るためです。
使用するステロイドは症状の程度と面積で決まってきます。
今日は治療の主な方向性についてのお話でした。
11月
07
2011
アトピー性皮膚炎はアレルギー素因を持った方のひじやひざ関節の屈曲側に起こることが一般的です。とくに夏場などの汗をかく時期に症状が悪化しやすいといわれています。
アトピー性皮膚炎はその大半が思春期には良くなっていきますが、大人になってからもそれが続き紅皮症状態になってしまわれる方も見えます。
今日はそのアトピー性皮膚炎のお話です。

○アトピー性皮膚炎の方が抱える問題点
アトピー性皮膚炎の方は外見上の問題点として“外出がしにくくなる”という周囲の人にどのように見られているか?という不安を抱えておられます
またかゆみにより“寝つきが悪い”といった睡眠の問題を抱えるケースも少なくありません。
さらには“勉強・仕事に集中できない”といった個人の能力を発揮するうえでの足かせになるようです。
○治療の3本柱
では、治療はどのように行われるのでしょうか?
治療の方向性としては3つあります
○1つめは“痒み対策です”
まずは、さしあたってこれをやらなくては、患者さんがかわいそうです。
○2つめは“皮膚症状の改善”です
さきほどの話題ですが、やはり見た目は気になるものです。重症化している皮膚の症状を改善させて、元の皮膚に戻すことを考えます。
○3つめは“原因検索とスキンケア”です
悪化させている要因が何かを考えて、それを除去することを考えます。
そしてスキンケアを施すことで元に戻った皮膚が維持できるようにしていきます。
今日はアトピー性皮膚炎の治療の基本的な説明でした
11月
05
2011
きょうは引き続き高齢者の総合機能評価のお話しです
「精神心理的評価」とは認知症(アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症)がないかとか、うつ病(老人性うつ病)がないかといった評価です。医学的評価と重なる部分ではありますが、高齢者にとって認知症は若年者との大きな違いであり問題点です。よって別評価の必要性があります。

「社会的評価」とは“とりまく住環境”のことです。一人で暮らしていく上でそれが可能な家なのか?家族は近くに住んでいるのか?といったことと、経済的裏付けはしっかりしているか?ということです。
これらは医師のみで行うわけではありません。また在宅医療に移ってからでは評価しづらく、また当然移った後で問題点がいくつも浮かび上がってくるようでは意味がありません。
よって入院中に医師や訪問看護ステーション・ケースワーカーなどを交えて評価するのが現実的です。
この評価をしっかりすることで、安心してしっかりした在宅医療を受けられる可能性が高まります。また入院期間が短縮したり、ムダな再入院の危険性を減らすこともできます。
今後はこの評価方法が広まることを期待したいです。
11月
04
2011
今日は在宅で療養されている方の置かれた環境を、どのように医療従事者やヘルパー等に伝えればいいか、というお話です。
病院を退院して在宅療養に移る場合、当然病院にいた時よりは不自由になります。しかしその不自由さが療養不可能にしてしまうほどのものであれば、在宅へのシフトに待ったをかけねばなりません。そうならないためにも的確な評価で患者さまの置かれた状況を把握せねばなりません。

そこで高齢者総合機能評価(Comprehensive geriatric assessment CGA)という評価方法があります。
これは「医学的評価」「身体的評価」「精神的心理的評価」「社会的評価」という4つを柱としています。
「医学的評価」とは“どんな病気があって、どれほど悪いのか?コントロール出来ているのか?”ということの評価です。当然在宅医療でコントロールできるほどになっていなければ退院させられません。
「身体的評価」とは“日常生活の機能障害はどの程度なのか?”ということの評価です。これは日常生活が過ごせていけるかというADLという言葉で言われることが多いのですが、ここではさらに細かく見ていきます。それは基本的ADLと手段的ADLという分け方をすることで細かい評価を可能にします。基本的ADLとは食事がうまくとれるか?お風呂に入れるか?服が着替えられるか?といった、ごくごく基本的な日常生活動作の評価です。
手段的ADLとは家計を管理できるか?乗り物に乗れるか?買い物に出かけられるか?といった一人暮らしをするうえでのもう少し高レベルの日常生活動作の評価です。
次回は「精神的心理的評価」「社会的評価」から話しを進めます