9月
29
2010
メタボリックシンドロームと言う言葉が巷にだいぶ浸透していますね。前回に引き続き今回もその“メタボ”のお話ですが、今回はより細かくメタボについて見ていこうと思います。
どうやらこのメタボ…いろいろと奥が深そうです。
○空腹時の血糖の上昇は見落とされがちです
病院に来られるのは決まって時間の空いたときになりますよね。仕事や家事、お買い物や食事など日常のあらゆることの合間にいらっしゃることが多いと思います。食事をしてすぐに病院に来られるという方は少数派と思われます。
しかし、ここで問題となるのは食事をしてすぐの血糖値、つまり食後血糖についてです。
なかでも食後の血糖が高くなる‘食後高血糖’という状態は『隠れ高血糖』と呼ばれ心筋梗塞や脳梗塞の原因になることがわかっています。
○早朝や夜間の血圧に注意したことはありますか?
通常人の血圧に夜間は下がり、朝になると上昇してきます。これを血圧の‘日内変動(にちないへんどう)’といいます。夜は眠りにつき、朝になると活動するのが人間の正常な行動ですから、理にかなっていますよね。
しかし夜になっても血圧が下がらない‘夜間高血圧’という状態と、朝になって正常に比べて上がり過ぎる‘早朝高血圧’という状態があります。
このような状態が続くと『いつまでたっても起きてこないので不思議に思って寝室をのぞいたら、すでに意識不明になっていた…』と悲劇につながるのです。
○仮面高血圧という聞きなれない高血圧があります
仮面高血圧という言葉をご存知の方は少ないと思います。
これは病院で測ると正常で、家庭で測ると高い血圧になる高血圧のことをいいます。このような状態であると、なかなか御自分のことを“高血圧”であると認識しづらいと思います。
○中性脂肪を下げましょう
中性脂肪と言う言葉を御存じの方は多いと思います。また、悪玉コレステロール・善玉コレステロールという言葉をご存知の方も多いのではないでしょうか?これらのコレステロールたちについて、最近解ってきたことがあります。
それは中性脂肪が多いことで悪玉コレステロールのサイズが更に小さくなって、血管に染み込みやすくなります。加えて、余分なコレステロールを回収してくれる善玉コレステロールが作られにくくなることも解ってきました。このことが動脈硬化を加速させ、心筋梗塞などの病気の発生を容易にさせてしまうことになるのです。
今回はメタボにかかわる色々な事象について考えてきました。次回は『メタボ解消の健康習慣』についてのお話です。
9月
28
2010
メタボリックシンドロームという言葉は世間にかなり浸透していますね。しかし、このメタボ、どのような状態なのか正確に知っている方は少ないように思われます。
きょうはそのメタボについてのお話です。
○メタボの定義を押さえましょう
メタボリックシンドロームと言うのはどんな状態を言うのでしょうか?それは「内臓脂肪型肥満」に加えて「高血糖」「高い血圧」「血清脂質異常」のうちのどれか2つ以上を合わせもった状態と定義されます。
ではさらに「内臓脂肪型肥満」「高血糖」「高血圧」「血清脂質異常」とはどんな状態のことを指すのか、詳しく見ていきましょう。
○内臓脂肪型肥満とは…?
内蔵脂肪型肥満とは、胃や腸などの内臓にへばりつくように脂肪がたまっているために太ってしまうことで、お腹の出た中高年の方をイメージしていただければわかりやすいかと思います。ちなみにお腹についた贅肉を自分でつまめるような肥満を「皮下脂肪型肥満」といいます。しかも同じ肥満でも内臓脂肪型肥満の方が、からだへの悪影響が強いのです。
では具体的にどこからを「内臓脂肪型肥満」と定めるのでしょうか?それは…
ウエスト周囲の長さが 男性で85センチ以上、 女性で90センチ以上
という基準になっています。
○高血糖とは…?
ここでいう「高血糖」とは空腹時の血糖値(血液中の糖分の割合)が110mg/dl以上、またはすでに糖尿病の治療を受けておられる方のことを言います。
ところでこの110という数字、どうしてこんな中途半端な数字なのでしょうか?
それは血糖値が100以上の方を糖尿病の「境界型」といい、“糖尿病の予備軍である”と定めているからなのです。つまり糖尿病だけでなくその予備軍以上の方も含めてメタボの危険因子とみられているのです。
○高い血圧とは…?
高い血圧の基準は最高(収縮期)血圧130mmHg以上、最低(拡張期)血圧85mmHg以上の片方または両方を満たすものとなっています。また既に高血圧の治療を受けておられる方も含まれます。
もしここの基準を満たしてしまわれていたら…健康について黄色信号なのかもしれませんね。
9月
27
2010
中村区医師会・名古屋第一赤十字病院合同カンファに参加してきました。
眼科副部長佐藤英津子先生による白内障屈折矯正手術についての講演でした。
直接当院の診療に関連するものではありませんでしたが、基幹病院でどんな治療をされているのかを知る良い機会でした。
9月
27
2010
前回に続き、めまいについてのお話です。今日はとくにめまいを起こしたときどうすればいいのか?めまいを起こす病気にはどんなものがあるのか?といったことを中心にお話しします。
○めまいを感じた際にどうすればいいのでしょうか?
とつぜんめまいが起きたら…不安になりますよね。でも、めまいはじきに良くなることが多いので、あわてず手すりにつかまったり座ったりして転倒など二次的な被害に遭わないようにしましょう。そして少し落ち着きを取り戻したら、お近くの医療機関に相談をしましょう。
○医療機関に相談をされる際に…
医療機関に相談をされる際に、医師には次のような内容をお話していただけると助かります。
1、どのようなタイプのめまいなのか?回転性?浮動性?
2、今まで何度めまいを感じたのか?
3、めまいが起こった時の状況は?
4、めまいにともなって何か別の症状はあったのか?難聴、耳詰 り嘔吐
5、そのほかの既往歴はあるのか?
6、現在服用している薬
○めまいを起こす代表的な疾患は…?
めまいを起こす疾患は数多ありますが、その中でも代表的な疾患のお話をします。
メニエール病…突然のめまいで、耳鳴りや難聴を伴うことが多いことが特徴です。
発作は不定期で、何度も繰り返します。
前庭神経炎…風邪を起こした後に発症することが多く、はげしい回転性のめまい
を起こします。
良性発作性頭位眩暈症…中高年女性に多い疾患です。起き上がったり寝返りを打つな
ど頭や体の向きを変えた際に回転性のめまいを起こします。
脳血管障害…脳に行く血管が詰まったり破れたりといった病気です。緊急の処置が必
要なのでためらうことなく救急車を呼ぶ必要があります。
以上が代表的な疾患です。
9月
26
2010
体調がかんばしくない時など「ちょっとめまいが…」と感じることがありますが、めまいにはいくつか種類があり、原因も様々です。
きょうはそのめまいのお話です。
○どんな種類のめまいがありますかか?
めまいは大きく分けて2つあります。耳や脳に原因があって起こる「真性めまい」と耳や脳に原因のない「仮性めまい」です。
○種類によって違うめまいの原因
真性めまいとは耳や脳に原因があると言いました。それでは耳や脳のどの部分が悪くなるのでしょうか?
人間の平衡感覚は眼や耳から入ってくる情報を脳が整理・統合してバランスを保っています。しかし、耳や脳に何らかの異常があると自分の体と周囲の位置関係を正確に把握できなくなったり、整理・統合できなくなります。そのような原因で頭がグルグル回っているように感じたり、フワフワ揺れているように感じたりといった異常感覚が感じられるようになるのです。
仮性めまいは貧血や低血圧、更年期障害など、直接耳や脳と関係のない原因でめまいを感じるもので、一瞬意識が遠のいたり立ちくらみを感じたりと言った症状が起こります。
○めまいのタイプを知ってください
めまいには2つのタイプがあります
「回転性めまい」とは天井がグルグル回るように感じるめまいで、吐き気やおう吐を伴うこともあるようです。
「浮動性めまい」とはふわふわと不安定な感じがするめまいで、揺れている感じと表現される方が多いようです。
今回はめまいの原因と症状についてのお話でした。次回はめまいが起きたらどうしたらいいか?めまいを起こす病気にはどんなものがあるか?をお話します。
9月
25
2010
株式会社ツムラ主催の『簡単!実践漢方セミナー』を受講してきました
講師に日本大学医学部内科系統合和漢医薬学分野の木下優子先生をお迎えしての講習会でした。
難解な漢方を解りやすく懇切丁寧にお話しいただきました。
9月
25
2010
何の前触れもなく突然耳が聞こえなくなったら…びっくりしますよね。こんなことが実際起こりうるのです。これを突発性難聴といいます。
○突発性難聴とは…?
突発性難聴とは内耳から大脳までの間で何らかの異常が起きて、その結果難聴になることです。原因ははっきりしていませんが、患者さまのお話を聞くと発症時に「強いストレスやひどい疲れを感じていた」とおっしゃる方が多いようです。
○特徴的な症状は…?
やはり“難聴”につきます。ただし程度は様々で「全く聞こえない」という方から「高い音が聞こえない」という方、「人の声は聞こえるが、それ以外はさっぱり聞こえない」という方まで見えます。
また耳鳴りや耳が詰まったような感じを訴えられる方もみえます。さらにはめまいを感じる方も見え、その割合は突発性難聴の半数程度になるようです。
○治療法とその注意点は…?
突発性難聴の治療にはステロイドによる薬物治療がメインとなってきます。なお聴力の回復のためには、一刻も早い治療の開始がポイントになってきます。遅くとも2週間以内に開始することが重要です。
○当院の治療法
当院では星状神経節ブロックによる突発性難聴の治療を行わせていただいています。これは薬物治療の補完的な治療で、耳の血行を良くすることで治療効果を上げようというものです。突発性難聴の治療中の方でご希望の方はお問い合わせください。
いずれにしても、突然の『無音』状態は驚きますよね。素早い対応で、よりよい治療効果が上がることを期待したいです。
9月
24
2010
さいきん“むずむず脚症候群”という病名が巷を騒がせています。きょうはその“むずむず脚症候群”のお話しです。
○症状は…?
むずむず脚症候群は「脚がむずむずする」「虫が這っているよう」と表現される症状があらわれます。「出来るならば脚の内部に手を突っ込んで掻きむしりたい」などとおっしゃる患者さまも見えるほどの不快な症状を呈します。
○どんな時に症状が出ますか?
このような症状は夕方から夜間に出ることが多く、そのせいで寝つきが悪くなったり痒さのあまり目が覚めてしまい、その後寝られないと言った悩みを持たれる方も見えます。
○どこの医療機関に相談したらいいのでしょうか?
むずむず脚症候群はおもに“神経内科”の先生が専門に診ておられる場合が多いようです。また「睡眠外来」「睡眠クリニック」を掲げておられる開業医先生に相談されるのも良いと思います。
○診断はどのようにするのでしょうか?
診断はまずは詳細な問診が基本です。それに加えて血液検査が必要です。というのも、血中の鉄分が不足していたり糖尿病が原因であったり、またはドパミンが不足する場合も発症することが多いので、それを確認する必要があるのです。
また、睡眠障害が強い場合は、睡眠の質を検査する必要があります。その場合は専門の施設に1泊2日で検査入院の必要が生じます
○治療法は…?
治療の柱は薬物治療と生活習慣の見直しです
まずは薬物治療が中心となってきます。鉄分やドパミンを補う薬を服用していただくことになります。
もうひとつの生活習慣を見直していただくこととは、鉄分を中心とした食生活の見直しと睡眠についてです。三食をきちんととって、早寝早起きを心がけていただくことで、脚の不快感と睡眠不足を改善していただきます。
薬物治療と生活習慣の見直しで大半の患者さまの状態は改善します。この病気に対してお心当たりの方は一度医療機関に受診されることをお勧めします。
9月
23
2010
今日は前回に続き、胃食道逆流症(GERD gastro esophageal reflux disease)のお話です。
○診断はいたって簡単です
通常、逆流性食道炎は症状からほぼ診断がつきます。検査は必ずしも必要とはなりません。ただし、症状が重かったり典型的ではない場合は、内視鏡検査が必要になってきます。
○薬物療法が効果的です。
胃食道逆流症は薬物治療が効果的です。前回お話ししたような原因を改善するようなお薬が選択されます。それは胃腸の働きを良くするお薬や胃酸を中和するお薬、また胃酸を出にくくするお薬です。
○日常生活で注意できることがあります
治療の基本はお薬を規則正しく飲んでいただくことですが、次のようなことに気をつけていただくことも予防効果として大切です。
1、食事は規則正しく、夜食はとらない
2、食べ過ぎに注意する
3、食後すぐには横にならない
4、消化の悪い、脂っこい物を避ける
5、タバコを吸わない
6、胸やけを起こしやすいカフェイン・チョコレート・香辛料を避ける
これらを気をつけていただくことによって、内服治療を補完する働きがあります。
胸やけやゲップなど、思い当たる節がある方は一度医療機関に相談されると良いと思います。
9月
22
2010
夜寝ているときなどに胸やけが気になったり、激しくせき込んだりといった症状にお悩みではありませんか?こんな時は胃酸が関係する胃食道逆流症(GERD gastro esophageal reflux disease)かもしれません
きょうはその胃食道逆流症のお話です。
○胃液の逆流が原因です
この病気は胃液が食道の方へ逆流したり、逆流した胃液を再度位へ返したりする機能や、胃からその先の腸の方へ食べ物を送るのに時間がかかり過ぎたりするために食道が胃酸にさらされてしまった結果起こってきます。
○典型的な症状は…?
この病気は若い人からお年寄りまで、幅広い年代で見られます。
一番典型的な症状は“胸やけ”です。チリチリと焼けつくような痛みを伴う胸やけの症状を起こします。この症状は食後にみぞおちから胸の下あたりに感じ、かがんだ際や食べ過ぎた時、決まった特定の食べ物を食べた時に多いようです。またゲップとともに酸っぱい胃酸が口に中にあがってきてしまい不快に感じる、ということを経験される方が多いのもこの病気の特徴です。
○思わぬ症状も起こしてきます
典型的な症状のほかに思わぬ症状を呈することもあります。それは“のどの痛み”“のどの奥の苦味”“夜間の咳や喘息”です。
逆流した胃酸は時に気管の方に入ってくることがあります。ご存知のように胃酸は刺激性の高い液体です。よって激しい咳を感じたり、喘息症状を引き起こしたりといったことになります。
夜間に喘息が起こるとして間違った治療を受けている方が多くみえるのも事実です。
次回は検査・治療のお話です。