4月
27
2010
腰痛は日本人が日頃感じる症状の男性では1位、女性では肩こりに続いて2位となっています。だれしも腰痛といえば腰椎椎間板ヘルニアなどの整形外科的疾患を思い浮かべる方も多いことでしょう。しかし、腰痛だからといって他の疾患を否定するにはちゃんとした診断が大切です
○後腹膜臓器の疾患は大変に恐ろしいものです
腰痛を症状とする疾患には消化器疾患もあります。胃腸が腰のすぐ近くにあることを考えれば、ご理解いただき易いかと思います。その消化器の疾患でも腰痛を呈しやすいのが後腹膜の疾患です。後腹膜にある消化器とは膵臓のことであり、腰痛を呈するすい臓疾患ではすなわち膵臓癌を考えねばなりません。
○腰痛を呈する消化器疾患の特徴
腰痛を呈する消化器疾患を見逃さないための診察所見として『発熱・食欲不振をともなう腰痛』という考え方があります。この症状を伴う場合、消化器疾患由来の腰痛であることが多いと言われています。
また痛みの範囲をしっかり特定することも重要です。背中の方が痛いのか、背中の方まで痛いのか…。
これら問診によって疾患が絞り込まれていくのです
4月
26
2010
腰痛は日本人が日頃感じる症状の男性では1位、女性では肩こりに続いて2位となっています。
今日は腰痛、とくに女性にとっての腰痛のお話です。
○女性生殖器は腰のすぐ近くにあります
女性には子宮・卵巣といった生殖器があります。これらは下半身にあるわけですが、そのすぐ後ろに腰骨があり、これらに疾患があると腰の方まで影響が及ぶことが十分に考えられます。
整形外科領域が原因ではなかったという腰痛の患者さんの約80%が腹部の内臓疾患由来であったというデーターがあります。
○女性生殖器の疾患は年齢によって違います。
腰痛を引き起こす女性生殖器疾患を考える際に、年齢を考慮してその原因を考えると良いと思われます。
まず若年者では月経困難症や子宮内膜症、付属器炎を考えます。40歳くらいになると子宮腺筋症や子宮筋腫、45~55歳では更年期障害といった傾向があります。また全ての年齢を通じて悪性腫瘍を考慮することは、当然注意をしなくてはならないことです。
4月
25
2010
骨粗鬆症の診断基準が変わり、より厳しい基準が用いられるようになりました。
○骨の量が減るリスクファクター
骨密度検査で要注意とされる「骨量減少」つまり70~80%のかたでも喫煙・過度のアルコール・両親のいずれかに大腿骨近位部骨折の既往がある、この3つがある場合は積極的に治療を行うとされています。
○ビスフォスフォネート剤とビタミン剤を飲んでいただきます
では積極的にどんな治療を行うのでしょうか?
現在治療の主流はビスフォスフォネートといわれる骨が壊されるのを抑える薬とビタミン剤を併用していただくのが一般的です。
また、カルシウムの注射も併せて行うこともあります。
4月
24
2010
骨粗鬆症は現代国民病ともいえる骨粗鬆症。骨粗鬆症になると骨折を起こしやすくなり、それが寝たきりの原因になります。
○診断基準が明確に決まっています
骨粗鬆症は学会が決めている明確な診断基準があります。それによると20~44歳の人の骨の量の平均値を基準に、70パーセント以上減少している場合を骨粗鬆症とします。
しかし、すでに骨折を起こしたことがある方は80パーセントでも骨粗鬆症と診断します。
○3センチ伸長が縮みます
骨粗鬆症による骨折はたとえば脚のつけ根やせぼねに起こるが多くあります。またこれらの場所での骨折は直接生活にも影響します。脚のつけ根の骨折が寝たきりの原因になり、背骨の骨折が慢性痛の原因になります。
なお背骨の骨折は伸長が3センチ縮むことが目安になります。
4月
23
2010
骨粗鬆症という病名はいまの日本にすっかり定着してきた感があります。今日はその骨粗鬆症のお話です。
○すでに1000万人です
現在、日本国内では1000~1100万人の方が、骨粗鬆症の患者さまであると言われております。骨粗鬆症になると背骨がつぶれたり、脚の付け根の骨折を起こしたりすることが患者さまにとって直接の影響になります。特に足の付け根の骨折は寝たきりの原因となるケースが多く、重大な病気といえましょう。
○骨の量を診断します
では具体的にどのように診断するのか、というお話です。
当院では足の骨に超音波をあてることで骨の密度を測定する方法をとっています。この方法は検査時間も数分と短く、痛みなどの苦痛もないため患者さまに負担のない方法になっております。
○年齢以外にも原因が眠っている場合があります
骨の量は年齢を重ねるほど減ってきてしまいます。そのほかにも副腎皮質ホルモン製剤を服用している方や、糖尿病のかたも骨の量が減ります。
そのためこれらがベースにないかどうかを念頭にする必要があります。
4月
22
2010
失明する病気といえば白内障が知られていますが、近年では失明の原因として一番多いのが緑内障にとって代わりました。しかもある調査では、40歳以上の5パーセントが緑内障を持っているという結果が出ました。
きょうは緑内障のお話です。
○眼底写真を撮りましょう
緑内障は目の奥にある網膜の視神経乳頭という部分が悪くなって視野に異常が出る病気です。それゆえ眼底検査をする必要があります。“以上に気付いてから”と思われる方も多いかと思いますが、初期にはなかなか気付かないものなので定期的なチェックが大切と考えられます。
人間ドックやコンタクトレンズのチェックなどで眼科を訪れた際に検査をされるとよいでしょう。
○進行度は視野検査で行います
進行度は視野検査が有効とされています。しかも最近の視野検査は数値化されて結果が出るので客観的に診断ができるのです。
4月
21
2010
近年女性のアルコール依存症が増加傾向にあるようです。
○男性と比べ年齢的に若い場合が多いです
女性は男性に比べ若くして依存になることが多いとされています。しかも生殖年齢にあたり、胎児への影響がでてしまいます。これを胎児性アルコール症候群といい赤ちゃんの低体重・顔面などの変形・精神的な問題などを呈します。
○女性のアルコール依存の特徴
女性の場合家庭などに問題を背景にしたアルコール依存で、摂食障害を伴うケースが特徴です。その摂食障害の中でも、過食のタイプが依存症になるリスクが高いと言われています。
4月
20
2010
アルコールを大量に毎日のように飲まれて、アルコール依存になってしまわれる方がいます。
きょうはそのアルコール依存症と最近クローズアップされているうつ病の関係についてのお話です。
○アルコールがうつ病治療に悪影響を起こします
うつ病とアルコールは切っても切れない関係にあると言われています。うつ病による不眠や抑うつ気分を、お酒のちからで一時的に忘れさせることができるからです。あるいはうつ病の原因となるさまざまな要因を、飲酒が更に悪くすることも知られています。
また飲酒によってうつ病治療薬の効き目が悪くなることも悪影響のひとつになっています。また、飲酒が自殺のリスクを増やすこともわかっています。さらには抗不安薬とか睡眠薬は脳の中でアルコールと同じ部位に働きますので、依存を進行させることもあるのです。
○アルコールがうつ病を引き起こすことがあります
逆に大量飲酒がうつ病を引き起こすこともあります。家庭や仕事などで悩みを抱えている人がお酒に走り、その結果うつ病になっていく…。あるいはアルコールそのものがうつ病を引き起こすことさえあるのです。
これらのように、アルコール依存→うつ病またはうつ病→アルコール依存という両方が存在します。
4月
18
2010
切り傷などの怪我をしてガーゼと包帯で治療した経験は誰にでもあるかと思います。
その傷の治療について最近新しい考え方による治療が行われています。
○傷の治療の三大原則
傷を治す際に必要な三大原則があります
1、清潔であること
当然のことですが、清潔に努めないと傷はふさがりません。傷を負った際に清潔に
してから治療を行う必要がありますし、治療期間中も清潔を保つようにしなくてはな
りません。
2、治っていく環境を準備すること
傷が治る過程においては湿った環境が大切です。傷がふさぐには新しい細胞が必要
なので、新しい細胞が増えやすい環境が湿った状態なのです。かつては乾燥している
方がいいと言われていましたが、現在では正反対の考え方です。
3、治癒能力を高めること
薬剤を使ったり縫い合わせたりして、ヒトが本来治ろうとする能力を手助けする必
要があります。軟膏を使うことは湿った環境を提供することにもなり、良いことだと考えられます。
○実際の治療方法
1、毎日ガーゼを交換する必要はありません
かつては毎日のガーゼの交換が必要とされていました。しかし、三大原則を守れる
環境ならば毎日消毒・ガーゼ交換を必要とはしなくなりました。
そもそも消毒はせっかくの新しい細胞を消毒薬で死滅させてしまうことになるので良
くありませんし、傷を覆っているものを取るだけで空気中のばい菌が傷上に落下す
るおそれもあるからです。
2、入浴も可能です
入浴時に傷を洗って頂くことは良いことです。ただしその後に入浴前と同じような
三大原則を守れる環境があればということになります。
3、抗菌薬の内服は必ずしも必要ではありません
傷に対して菌の数が多い時や傷の周りが赤くはれたり膿が出ていたりする場合は内
服していただく必要があります。
4、海外ではオモシロイ治療法があるそうです
最近日本では抗菌薬を塗りこんだ湿布のようなものが発売されました。また海外
ではハチミツを塗りこんだものまであるそうです。もともと日本でも民間療法に、このような考え方があるのですが、海外ではしっかりとした医薬品として売られているそうです。ハチミツには静菌作用があることは分かっていたので、それ応用したのでしょう。
4月
17
2010
慢性疼痛でお悩みの方といろいろお話をしていく中で、偶然治療のヒントになる事柄がある場合があります。その一つに心身症があります。
今日はその心身症と痛みの関係です。
○痛いから気分がふさぎこみがちになるのではなく…
だれでも痛みを感じれば不快な気分になることでしょう。しかもそれが長期間にわたれば尚更のことと思われます。慢性の痛みに悩まされている方はほんとうにお気の毒な状態と思います。
しかし、この痛みからくる気分不快のほかに気分不快からくる痛みというものがあります。家族のことであったり職場のことであったり、いろいろなことでストレスを抱えて痛みを身体のどこかに抱えることがあるようです。
○まずは心の整理、そして痛みの治療
このように心のストレスが原因と考えられる方は、心の整理をする治療が必要になります。そのためには色々と心の中にあるモヤモヤしたものを全て語っていただかなくてはなりません。また気分が良くなるような運動などをしていただくことも必要となることがあります。
一度心の中を整理して、語っていただくことはできませんか?