4月
16
2010
当院には慢性疼痛でお悩みの患者さまがいらっしゃいます。聞くところでは数年から数十年にかけて、痛みに耐える生活をしていらっしゃる方がみえます。
このような患者さまに時間をかけて、それこそ何回かに分けてお話をお聞きすると、痛みの箇所が1か所だけではなく複数あるとおっしゃることがあります。またほかにもお腹の痛みや不眠症でほかの病院に通っているとおっしゃる方も見えます。
しかし、なかなか最初から全てを打ち明けていただけるわけではなさそうです。知り合って間もない医師にすべてを話すことに、戸惑いを感じられることがあるからでしょう。あるいはペインクリニックに来院される前にあらゆる医療機関に受診され、異常はないと無下にされたことから警戒されておられるのかもしれません。
でも勇気を持って全てをお話していただかねばなりません。
ペインクリニックでは身体全体を、それこそ心まで診させていただかなければ診断が下せない場合があるのです。
すぐにとは言いません。いつまでも待ちますので、何度でも聞きますので教えてください。
4月
15
2010
帯状疱疹と単純疱疹…ごくごく知られたポピュラーな疾患であり見分けるのは容易とされています。しかし、中には非典型的なものもあり、難しいケースも散見されます。
今日はその帯状疱疹と単純疱疹のそれぞれの特徴と鑑別についてです
○帯状疱疹について~1生に1度きりというわけでもなさそうです
帯状疱疹といえば小児期に感染した水ぼうそう(水痘)のウイルスがずっと体内で生きていて(潜伏感染)、過労・寝不足・ストレス・がん・ステロイド治療などの免疫機能が衰えるようなことがあると、ピリピリとした痛みを伴う赤い帯状の発疹を起こすものです。いままでは罹患するのは一生に一度といわれていましたが、そうでない例もあり年齢による抵抗力の衰えが大きなキーポイントとなるようです。
また、帯状疱疹の皮疹がなくなった後でも痛みだけが残る、帯状疱疹後神経痛は高齢者の方で問題になっております。
○単純疱疹~痛みがないのが特徴です~
単純疱疹は原因ウイルスが2種類あって、1型が首より上に2型が仙骨より下に感染して、繰り返し発症します。通常痛みはありません。
発症するのは口唇などの皮膚と粘膜の境(皮膚粘膜移行部)に発症します。
○鑑別…ウイルスに対する抗体検出で確定です
どちらのウイルスに感染したのか確定したい場合、皮疹から取った内容物を抗水痘・帯状疱疹ウイルス、および抗単純疱疹ウイルスに対するそれぞれのモノクロナール抗体を使い、蛍光抗体で染色する方法があります。
○治療…抗ウイルス薬を飲んでいただきます
帯状疱疹あるいは単純疱疹に罹患された場合、抗ウイルス薬を服用していただくことになります。
4月
15
2010
○咳喘息…?診断と治療は…?
かぜや百日咳、マイコプラズマ感染症ではない、慢性の咳嗽の原因に「咳喘息」という聞きなれない疾患があります。
これは風邪を契機に起こってくる場合と突然起こってくる場合があり、夜咳き込んで寝られなかったり目覚めてしまったりというようなことをおっしゃることが多くあります。また小児期にアトピー性皮膚炎があったと言われることもあります。
実は慢性の咳嗽の3分の1がこの疾患であるともいわれており、重要な鑑別疾患のひとつです。
このような方には気管支拡張薬と吸入ステロイド、あるいはロイコトリエン拮抗薬を投与させていただくことになります。
○アトピー喘息…?診断と治療は…?
いままで述べてきた疾患でも当てはまらない場合、アトピー喘息という疾患である可能性が高いといえます。これは気管支拡張薬で効果のない咳嗽と定義されます。吸入ステロイドが効果があり、逆にいえばステロイドで悪化させるマイコプラズマや百日咳との鑑別が重要となってくると言えます。
4月
14
2010
○咳喘息…?診断と治療は…?
かぜや百日咳、マイコプラズマ感染症ではない、慢性の咳嗽の原因に「咳喘息」という聞きなれない疾患があります。
これは風邪を契機に起こってくる場合と突然起こってくる場合があり、夜咳き込んで寝られなかったり目覚めてしまったりというようなことをおっしゃることが多くあります。また小児期にアトピー性皮膚炎があったと言われることもあります。
実は慢性の咳嗽の3分の1がこの疾患であるともいわれており、重要な鑑別疾患のひとつです。
このような方には気管支拡張薬と吸入ステロイド、あるいはロイコトリエン拮抗薬を投与させていただくことになります。
○アトピー喘息…?診断と治療は…?
いままで述べてきた疾患でも当てはまらない場合、アトピー喘息という疾患である可能性が高いといえます。これは気管支拡張薬で効果のない咳嗽と定義されます。吸入ステロイドが効果があり、逆にいえばステロイドで悪化させるマイコプラズマや百日咳との鑑別が重要となってくると言えます。
4月
14
2010
咳というものは夜寝つきを悪くしたり、腹筋が痛くなったりと何かと煩わしさを伴うものです。
今日はその慢性に続く咳のお話です
○咳の区分…継続期間で考え方が違います
長く続く咳のうち3週間以内を急性、3~8週間以内を遷延性、8週以上を慢性の咳嗽といいます。急性・遷延性は通常のかぜが原因であることが多く、風邪の治療に準じて対処をしていけばいいということになります。
一方慢性の咳嗽は原因となる疾患がいくつかあり、診断が大切になってきます。
○慢性咳嗽の診断・治療~まずは基本的なところから~
今日のお話のメインテーマになろうかと思います。慢性咳嗽の診断・治療についてです。
慢性に咳が続く場合としてまず考えねばならないのが、肺がんです。これはレントゲン上で異常が見つかることが多く、逆にいえば咳が続いたらレントゲンを撮らねばならないと言えようかと思います。他には咳を誘発する薬を飲んではいないか?ということです。血圧の薬であるACE阻害薬は咳を誘発するものがあり、これが原因であることがあります。
○感染症後の慢性咳嗽~診断と治療~
ウイルス性あるいはマイコプラズマ、百日咳といった感染症の後に咳が長く続く場合があります。これらの感染症を確定するには血清の抗体価を調べるのがよく、マイコプラズマでは320倍、百日咳では1280倍以上であればシングル血清でも確定していいということになっています。
これら疾患の治療はマクロライド系抗生物質を2~3週間飲んでいただくことになります。また必要に応じて鎮咳薬・気管支拡張薬などの席に対する治療も行います。
次回は咳喘息とアトピー喘息の診断・治療です
4月
13
2010
20世紀後半より先進国はもとより後進国まで、それこそ世界中の難問として君臨してきたHIV感染症。感染した人は20年程度の時間を経て、エイズを発症してきます。
ひとたびエイズを発症すると、不治の病として亡くなってしまわれます。
しかしこのHIV感染の治療について、ここ10年間で劇的な進歩がありました。
感染後しかるべき時期に治療をすれば、エイズを発症しなくて済むようになってきたのです。HIVに感染してもエイズを発症しなければ亡くなることはありません。ずっとウイルスを持ち続けているキャリアーとして一生を過ごすのです。また、治療によって体内でのウイルスの量が減ることが可能となってきました。これは他人には映りにくくなることを意味します。
このようにかなり進歩したHIV治療。今後の研究で完全に撲滅してほしいものです。
4月
11
2010
○クレアチニンクリアランスやタンパク尿でステージ分類がされます
これはクレアチニンクリアランスと尿たんぱくの値で変わってきます。
ステージ1 推定GFR>90 タンパク尿陽性
ステージ2 推定GFR90~60 タンパク尿陽性
ステージ3 推定GFR60~30
ステージ4 推定GFR30~15
ステージ5 推定GFR15未満
となっております。いままで“問題なかろう”ということで軽んじてこられたものが、ちょうどステージ2ないし3といわれています。そのあたりからしっかり治療しないと、大変つらい未来が待っていることになります。
○検査結果をもとに治療すると何が良いのでしょうか?
これら検査結果をもとに治療するとどんな良いことがあるのでしょうか?
学会の調査によるとステージ3以降の方は心筋梗塞・脳卒中の確率が高いという報告があります。またタンパク尿・クレアチニンが1.3以上の方の方が糖尿病よりも心筋梗塞・脳卒中になる確率が高い、というデーターもあります。
このような合併症を防ぐためにも早い段階からの治療が欠かせません。
○治療の方向性は…?
ではどうしたらこのような状態にならなくて済むのでしょうか?
それには高血圧・糖尿病・高コレステロールやメタボリックシンドロームなどを抑える必要があります。特に高血圧は重要で、130/80mmHg未満にコントロールをすることが求められます。
また薬剤の選択も重要となってきます。降圧薬のうち腎保護作用があるARB・ACE阻害薬を飲んでいただきます。
○腎臓専門家に相談するべき病態は…?
これまで述べてきた治療はすべて、街の開業医であればどなたでも可能な治療です。しかし、病状が進行してきてタンパク尿0.5グラム以上、推定GFR50未満、タンパク尿と血尿両方が出る方は専門医に相談すべき状態なので、かかりつけ医にそうだんされるのがいいでしょう。
4月
11
2010
近年“慢性腎臓病(CKD)”という概念がひろがってきました。これは軽度の腎臓障害や慢性腎疾患と心臓との関係に注目したものです。循環器の先生が患者さんを長期的に診ていく際に、腎臓の指標のひとつであるクレアチニンの値が悪くなると心臓病も悪くなるということを提唱し始めました。また腎臓病は最終的に血液透析になってしまうことも少なくなく、よって慢性腎臓病は大変な問題であると言われ始めたのです。
○血液検査で診断がつきます
慢性腎臓病といってもどこか痛いとか、かゆいとかといった症状は現れにくいのが初期段階です。しかしその段階から治療を開始しないと、“行く末”が大変なものなので何か手立てがほしいものです。
そこで一般的な血液検査で血清クレアチニンを測定し、そこから計算式(学会が推奨する推算式)でクレアチニンクリアランス(GFR)を計算して、60ml/min未満という値が3カ月以上続く場合が慢性腎臓病です。また尿検査で尿にたんぱくが混ざる状態が3カ月以上続くことも、やはり慢性腎臓病の定義とされています。
明日は慢性腎臓病の重症度のお話です。
4月
11
2010
○まずは休息です
うつ病の治療は年齢による違いはありません。うつ病はまじめで一生懸命なガンバリ屋さんが患ってしまうことが多いので、まずは十分な休息を取っていただくことが第一となります。
○薬物治療の進め方
最近うつ病治療薬が多く出てきました。そのなかでもSSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)を第1選択の薬として使用します。この薬はマイルドな薬で扱いやすいため、精神科専門の医師でなくても安心して処方できます。精神科はちょっと…という方には内科で頂くと良いでしょう。
これ以外は従来から使われている三環系抗うつ薬をもちいます。この薬はやはり使い慣れた精神科の先生から処方していただくことが良いと思われます。
4月
05
2010
近年、うつ病に対する世の中の認知度が広がっていたように思われますが、今日はそのうち、高齢者のうつ病についてのお話です。
統計によると、日本人において15人に一人の割合で一生のうち1回うつ病にかかるのだそうです。この統計は驚くべきことだと思います。
高齢者の方はいろいろな面で“失う”ことを体験していきます。たとえば『会社』『配偶者』『お金』『身体機能』…。このことが精神的な影響をあたえます。
次回からは具体的な“症状”“診断”“治療”のお話に入っていきます。