3月
30
2011
2009年に日本の気管支喘息の治療法が変わりました。以前に比べ、より患者さんにも理解しやすい治療内容となったのです。
そしてもう一つは、新しい治療法が加わったことです。
それは抗IgE抗体療法という、注射による治療法です。
この治療法は従来の治療法でもコントロールが難しかった難治性の喘息に対し、使われます。喘息の本態であるアレルギー反応をより確実にブロックする治療です。
年間で200人以上が喘息で亡くなります。新しい治療法も加わり、喘息死ゼロになって欲しいものです
3月
25
2011
小牧市医師会生涯教育研修会『インフルエンザA/H1N1感染の病態:これまでの季節性インフルエンザと何が違うか』を受講してきました

新型インフルエンザについて新しい臨床的な知識を得ることが出来て、とても有意義な時間でした。
3月
23
2011
今日は乳がん検診のおはなしです。
乳がん検診は、現在40歳以上の方が2年に1回公費でマンモグラフィーという特殊なエックス線撮影を受けることができます。
しかし、このマンモグラフィーは必ずしも完璧な検査ではありません。
というのも、この撮影方法は乳房の端の方に出来てしまったガンは写りにくいという弱点があります。
そこでこの弱点を補う意味で、超音波検査を同時に受けられることをお勧めします。
これは、一般的に腹部や心臓に行われている超音波検査と同じ性格のものと考えてください。
やはり患ってしまったら色々な犠牲を背負わなくてはならない疾患です。
早めに検診を受けられることを強くお勧めします。
3月
18
2011
本日は岩倉市医師会講演会『心血管イベントを抑制する降圧両方~糖尿病合併高血圧における検討~』を受講してきました

講師に菰野厚生病院副院長小嶋正義先生を迎えての講演会でした
3月
11
2011
今日は高齢出産についてのお話です。
そもそも高齢出産とはどういうものを言うのでしょうか?かつては30歳以上といわれていましたが、現代では35歳以上の方の出産が全体の20%弱となっています。なかなか定義付けするのが難しいようです。
○生殖能力について
女性の生殖能力はやはり20代がいちばん良いようです。そして30歳を過ぎると低下し始め、35歳をすぎると一層低下傾向が激しくなります。そして42歳ころで通常妊娠は限界をむかえるようです。
○妊娠にたいするリスクが高まります
高齢妊娠になると、妊娠中のいろいろなリスクが高まります。『妊娠高血圧症候群(妊娠中毒)』『前置胎盤』『胎児発育不全』『新生児仮死』『帝王切開』『早産』などです。
これらは35歳過ぎると20代のだいたい2倍程度リスクが高まるそうです。よって高齢妊娠の場合は、妊娠中の管理をより厳重にせねばなりません。
○総合病院産科を選択しましょう
このような高齢妊娠の場合は、トータルなケアを必要とするので、総合病院産科に行くことをお勧めします。それは妊娠中もお産の際も、他科の医師とのかかわりが重要になってくるからです。母体と胎児の管理を産科の医師に、その他内科疾患を他の科の医師にゆだねる必要性があるからです。
妊娠中の管理をしっかりして、元気な赤ちゃんを産んでほしいものです
3月
09
2011
アルツハイマー型認知症…中高年の方には気になる言葉かと思います。自分もそうなるかもしれない…。
今日はそのアルツハイマー型認知症の治療についてのお話です。
○アルツハイマーを防げるワクチンが登場します。
現在世界ではアルツハイマー型認知症の治療に関してかなり進歩していて、ここ数年以内にアルツハイマー型認知症のワクチンが登場する予定です。
現在一番すすんでいるのがネズミに抗体を作らせておいて、それを接種しようというものです。これはアルツハイマーの原因とされるアミロイドβタンパクという異常たんぱく質をネズミに接種して、それに対して作られた抗体を人間に接種するという方法です。
以前よりアルツハイマー型認知症の治療薬でアリセプトという薬はありましたが、このワクチンはそれより更に進んだ治療法として期待されております。
○高額な治療費がネックです
ただしこの治療法は高額で、長期間を要します。
だいたい3カ月に1回のペースで7~10回くらい行います。費用は1本につき10万円とずいぶん高額な治療になります
○さらに進歩した治療法も研究されています
さきほどまでのお話はネズミに抗体を作らせておいて、それを注射する方法でした。しかし更に進歩して、ヒトに抗体を作らせる方法も開発されつつあります。
そのなかでも飲むワクチンが開発中です。人の免疫機構は血液と腸の2つあるのですが、腸に異常たんぱく質に対する免疫能力を持たせることで、アルツハイマー型認知症の治療をしようというものです。
これらは今夏治験が終了します。そうすると数年後にはアルツハイマー型認知症の治療に大いなる進歩となるのかもしれません。
3月
08
2011
RSウイルスをご存知でしょうか?このウイルスは風邪の原因となるウイルスで、風邪自体がごくごくありふれたものであるため、逆になじみがないのかもしれません。
今日はそのRSウイルスのお話しです。
○初感染時が要注意です。
ありふれたウイルスゆえ、ほぼ100%の子どもが2歳までに感染いたします。しかし、ありふれたといっても、生まれて初めて暴露された子どもには当然なじみがありません。つまり免疫がない、ということになります。よって初感染時は重症化の可能性があります。通常風邪といえば“咳”“鼻水”“くしゃみ”、あるいは軽度の発熱といった程度ですが、肺炎などを引き起こすことがあります。
○心臓、肺に障害のある児はとくに要注意です
このような重症化はどのような時に起こるのでしょうか?
通常、健康な子どもには数%位の確率で起こるのですが、心臓に障害のある子どもは10%位の確率で重症化するというデータがあります。しかも風邪のレベルから、重症化して集中治療室管理になるのが、4~5日くらいの時間で起こってくると言われています。
また重症化した子どものうち、数%は死亡するケースがあるのです。
○治癒後はどんな後遺症があるのでしょうか?
では、重症化した子どもが治癒した後はどんな障害が残るのでしょうか?
肺炎を引き起こしたケースでは将来喘息を起こしやすいというデータがあります。それ以外はあまり目立った後遺症はありません。
○障害のある子どもには、予防する注射があります
では、危険性の高い子どもには何か手立てはないのでしょうか?
現在国内では抗ウイルス抗体を注射することで、予防をしています。この注射はRSウイルスが流行するシーズンに筋肉注射で月に1回行うものです。心臓や肺にリスクのある子どものみに適応があります。
ひとくちに“風邪”といっても軽く見てはいけません。『風邪は万病のもと』ということわざをご存知かと思いますが、油断は大敵ということですね。