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2011年4月

4月 30 2011

全身性強皮症(全身性硬化症)について

今日は全身性強皮症(全身性硬化症)についてのお話です。

○名称が変わってきています
 全身性強皮症(全身性硬化症)はかつて強皮症と言っていた時期がありました。英語ではprogressive systemic sclerosisといい、単純に訳して進行性全身性硬化症と言っていた時期もあります。
しかし最近、膠原病専門医の間では全身性強皮症(全身性硬化症)と表記され、SScと略されているようです。
医師の間で呼び名が変わってしまい戸惑う方も見えるかもしれませんが、ご注意ください。

○女性の病気といえます
 この病気は圧倒的に女性の病気です。それも閉経後に発症してきて、10年後には2~4割の方は亡くなってしまわれます。頻度としては1万人に1人の割合です。

○冷え症?がこの病気の始まりです
 全身性強皮症(全身性硬化症)は冷え症のような、手足の冷えが初発症状です。しかも冷えとともに手足が“ロウ人形のようだ”と患者さんはおっしゃいます。つまり冷えとともに白くなって、なかなか赤みが戻らないのです。
手足の冷えを更年期にともなった冷え症と決めつけない方が良いと思われます。

○手の先の皮膚のこわばりが出てきます
 次に手の指先の皮膚がこわばってきます。しかし、初期のころ患者さんには気づきにくい症状です。そして関節のこわばりがでてきます。それとともに痛みも伴うので、関節リウマチと間違われることが多いのも特徴です。しかしよく見ると関節が痛いのではなく、皮膚のこわばりに伴った痛みであることがわかります。

次回は診断に必要な検査と治療のことについてのお話です。

4月 29 2011

生物学的製剤の適用のお話し

 
今日は前回に続き、関節リウマチの生物学的製剤のお話です。主に薬の“適応”と“副作用”のお話です。

○従来のお薬で効果が乏しい方に適応です
 生物学的製剤は従来からある経口で飲むお薬でコントロールが難しくなった方に適応があります。メトトレキサートというお薬を3カ月以上飲んでいただいた患者さまで、例えば何関節も腫れが残っているとか血液検査上で炎症反応が鎮静化しない方、レントゲンで関節破壊がどんどん進行しているのが判る方などです。

○メトトレキサートとの併用が一般的です
 生物学的製剤はメトトレキサートとの併用が必要です。これは併用した方がスイッチしてしまった場合より治療成績が良いからです。ただし4種類のうちでIL-6をターゲットにした製剤だけは併用しなくても効果があることが判っています。

○治療の副作用は…?
 この治療の副作用は大きく分けて2つあります。
ひとつは治療に対するアレルギー反応です。発熱・嘔気・頭痛・じんましんなどの全身反応が起こることがあります。
もうひとつは治療のターゲットがヒトの免疫系ゆえに、逆に免疫機能が弱まって感染症にかかりやすくなることが挙げられます。

新しい治療にも弱点はあります。効果と弱点を考えながら、治療法を選択する必要があるようでうs。

4月 28 2011

膠原病リウマチ疾患の新しい治療の方向性

 今日は近年の膠原病リウマチ疾患の治療の新しい方向性についてのお話です。
その中でも生物学的製剤という分野の薬のお話です

○生物学的製剤とは…
 生物学的製剤とは身体の中で自然に作られている物質です。難しい名称ですが、ようするに普通に体内にある物質を工場で生産して、薬として飲んでいただこうということです。

○どのような種類があるのでしょうか?
 現在国内では4種類ほど存在します。いずれも関節リウマチの治療薬としてすでに一般的になっています。

○TNFの働きを抑えるくすりです
ひとつは関節リウマチの根本原因であるTNF(腫瘍破壊因子)の働きを抑えようとする薬です。つまり体内で原因となる物質とまともに戦おうという治療の薬というわけです。
現在国内では3種類ほどあり、インフリキシマブ・アダリムマブ・エタネルセプトというお薬です。

○IL-6受容体抗体です
 もうひとつはIL-6という、これも関節リウマチの原因ですが、これに対する受容体の偽物を投与します。IL-6は体内のある部分にくっつくことで効果を発揮します。もちろんこの場合悪い効果ですが、ではくっつく部分の偽物を投与したらどうなるでしょうか?IL-6は喜んで偽物にくっついて、本来の悪い効果を発揮できなくなります。
いわば“おとり作戦”とも言うべき治療法です。

次回は治療のさらに細かい部分についてのお話です。

4月 27 2011

全身性エリテマトーデスの治療~ステロイド治療が中心です~

今日は全身性エリテマトーデスの治療の話です。

○ステロイド治療が中心です
 全身性エリテマトーデスはステロイド治療が中心です。ステロイドの錠剤を長年にわたって服用していただきます。
ステロイドは初期にはある程度まとまった量を飲んでいただき、症状の改善が見られたら数カ月にわたって徐々に減らしていきます。そして維持量というわずかな量のステロイドを長年にわたって服用していただくのです。

○ステロイドに免疫抑制剤を併用します
 ステロイドは副作用が如実に表れてきます。
ムーンフェースという丸い顔になってきたり、全体的に身体が丸みを帯びてきたりといった変化が起こります。そのため免疫抑制剤という薬を併用することで、治療中の副作用を最小限に抑える努力をします。

○漢方薬を使うのも手段です
 近年漢方薬の効用を見直す動きがあります。
ステロイドや免疫抑制剤は副作用が強いため、副作用をそれほど気にしなくて済む漢方薬を代替的に使おうという試みです。全身性エリテマトーデスは免疫系全体のバランスが崩れた結果起こるものだと言われています。漢方薬は身体のバランスの改善をもって体調を良くしていこうという薬効を持っています。よって漢方は全身性エリテマトーデスに効果があります。

当院では漢方診療を行っています。
一度漢方で全身性エリテマトーデスの治療を選択してみてはいかがでしょうか?

4月 24 2011

全身性エリテマトーデスの症状

 今日は全身性エリテマトーデスの症状・検査のお話です。

○特徴的な関節痛…
 全身性エリテマトーデスでは関節痛が見られますが、それもかなり特徴的です。というのも2~3日で痛む場所が変わります。これはリウマチとは一線を画す症状です。

○不明熱として治療が遅れます
 熱も呈しますが、その原因が分からなくて“不明熱”として治療が遅れることがしばしばあります。熱があるのに一般的な感染症のように白血球が増えてこないため、原因がつかめないで時間ばかりが経ってしまうからです。

○顔の発疹が出ます
 顔に発疹が出ることが多く、日光に当たると悪くなることがあります。
またあまり知られていませんが、爪の周囲が赤くなることも特徴的な症状です。

○血液検査をする必要があります
 全身性エリテマトーデスは血液検査でほぼ確定いたします。赤血球・白血球・血小板が若干少なくなります。とくに血小板は10万以下という数字を疑う根拠としています。

○抗体検査で確定いたします。
 全身性エリテマトーデスでは抗核抗体と抗DNA抗体が診断に有用です。
これらの検査はどこの病院でもできるため、特別な検査というわけではありません。

次回は治療のお話をします。

4月 22 2011

全身性エリテマトーデスについて

全国で7万人くらいの患者さまがいると言われている全身性エリテマトーデス。きょうは全身性エリテマトーデスのお話です。

○妊娠可能年齢の女性に多い病気です
 全身性エリテマトーデスは、基本的には妊娠可能年齢の女性に多い病気です。
よって患者さまにとって妊娠・出産・仕事・日常生活はどうなってしまうのか?ということが気になるかと思いますが、しっかりケアしていけば十分可能です。

○どのような症状で発症するのでしょうか?
 全身性エリテマトーデスは典型的な症状として関節炎・関節痛がありますが、これを初発症状として来院される方が3分の1位みえます。
また、発熱で来られるケースも3分の1みえます。これは原因のわからない「不明熱」として何ヶ月も治療の効果がなく困ってしまっているといった状況の際、結果的に全身性エリテマトーデスだったということがずっと後になってわかるというものです。
そして残りの3分の1は健康診断などで貧血ぎみだとか、尿にたんぱくが混ざっているとかで精密検査に回されて、結局明らかになるケースです。

次回は全身性エリテマトーデスについて、更に詳しく解説いたします。

4月 06 2011

抗血小板薬の休薬ついて~手術・検査の際の内服中止とは~

動脈硬化にともなって心筋梗塞や脳卒中を発症される方は多いと思います。その方は発症後に抗血小板薬という血小板の止血機能を抑える薬を飲まなくてはなりません。
しかしこのような方が手術や検査をされる場合、薬を中断しなくてはなりません。そうすると心筋梗塞や脳卒中を再発症するリスクが高まります。
それではどうしたら安全に検査や手術を受けられるのでしょうか。
これは薬を中止すると同時にヘパリンという点滴の抗血小板薬に切り替えて投与します。
この薬は検査や手術直前に中止しても支障がないからです。しかし点滴ということで、当然入院して行うということになります。
なお不整脈などで抗凝固薬を飲まれている方も同様に入院してヘパリン点滴をしていただくことになります。
以上のように抗血小板薬・抗凝固薬を服用されている方は、ひと手間がいる検査・手術ということになります。

4月 04 2011

しびれのお話~糖尿病の場合~

今日はしびれのおはなしのなかでも、糖尿病によるしびれのお話です。

○足の方から起こってきます
 この場合もやはり足の方から起こってきます。
しかしいきなりしびれが出るわけではなく、最初は振動に対する感覚が鈍くなるなどの症状が出ます。また糖尿病の他の症状に比べて遅く出てくるので、原因が分からなくて右往左往ということは少ないようです。

○糖尿病のコントロールが大切です
では治療はどうしたらいいでしょうか
それは糖尿病のコントロールが治療するうえでの大前提となります。しっかりしたコントロールで障害の進行や程度が軽くなるからです。
そもそも神経の病気なので、進行してしまうと元に戻りにくいといえます。そのためにもしっかりとコントロールしましょう。

やはり糖尿病によるニューロパチーはしっかりとした自己管理が大切なようですね。

4月 03 2011

手足のしびれのおはなし~ギランバレー症候群とは~

前回は手足のしびれについてのお話しでした。今日はその“しびれ”をきたす疾患についてのおはなしです。

○ギランバレー症候群をご存知でしょうか?
 手足のしびれ・運動麻痺が比較的早く進行する疾患に“ギランバレー症候群”という疾患があります。これは気道や消化器の感染症につづいて手足の感覚・運動麻痺がおこります。

○症状の進行が早いです
 この場合症状進行がとても速く進みます。朝起きづらいといった程度だったのが、夕方には腰にきて全く歩けなくなることもあります。
しかも手足のみならず飲み込みにくい、しゃべりにくいという症状も加わることがあり、致死的になることもあります。

いま、家族にこのような方がいる方はすぐさま救急車をよんで病院に行ってください。

4月 01 2011

手足のしびれにご注意を~多発ニューロパチーとは~

 
 手足のしびれに悩まれている方は多いと思います。今日はその中でも多発ニューロパチーという症状についてのおはなしです。

○左右の手足がしびれます
 この症状は感覚神経や運動神経といった末梢神経が障害されることで起こってきます。とくに手足から起こってくることが多く、起こる場所から『手袋・靴下型障害』といわれています。

○感覚と運動の神経がやられます
 感覚と運動の両方の神経がやられるため、ビリビリとしたしびれた感覚や動きが悪くなったりします。しかもその両方が同時に出てくることがほとんどという、やっかいな症状です

○足からやられていくようです
 最初は足から症状が出てくるようです。これはよく原因がわかっていませんが、脚の方が長いためではといわれています。

手足のしびれに悩んでおられる方は多いと思います。現在のしびれが治るのかどうか、あるいはこのまま推移するのか?もっといえばどんどん悪くなるのか、気になる所かと思います。
また、しびれをきたす疾患は多岐にわたり、原因を突き止めるだけでも大変な苦労をします。

ひょっとしたら、今のしびれは進行中なのかもしれません。お近くの医療機関に相談されることをお勧めいたします。

次回はこのような症状を起こしてくる代表的疾患のおはなしです。

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