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2013年9月

9月 28 2013

全身性金属アレルギー

今日は全身性金属アレルギーについてのお話です。これは最近になって、兵庫県立加古川医療センターの足立先生が提唱された概念です。

○概念は…?
 食事で亜鉛やコバルトなどを多く接種すると汗より分泌されて、それが金属アレルギーのもとになり皮膚炎を起こすというものです
○症状は…?
 異汗性湿疹といい、手掌にプツプツと細かな水泡を伴った丘疹(炎症によって細胞成分が増え、小さな盛り上がりになること)ができます。また貨幣状湿疹という丸い形をしたちょうどコインくらいの大きさの湿疹ができることもあります。

○診断は…?
 大変に見分けにくい疾患です。それは他の皮膚炎と区別がつきづらいからです。
そんな中、汗をかいた際に発疹がすごく悪化するような場合は可能性が高いと言えます。また、手のひらや足の裏に症状があるというのも重要なポイントとなってきます。JE116_72A
実際診察室では、金属が多量に入っているナッツやチョコレートを連続5日間食べていただき、もともとの皮膚症状が悪化したとか痒みが増えたといったことから診断いたします。

○対策は…?
 では、全身性金属アレルギーと診断されたら、どのような対処法があるのでしょうか?
当然、この疾患の原因となる金属を摂取しないようにするのが一番いいわけです。ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、亜鉛、銅が原因となりますが、とくにニッケル・コバルト・クロムは特に重要といわれています。

○薬物療法もあります
 クロモグリフェト(インタール)やミノマイシンという抗菌薬を使うと、金属を腸から吸収しづらくしたりキレート(金属を挟み込んでブロックしてしまうこと)を形成することで、体内に取り込みにくくするのです。

9月 26 2013

特発性血小板減少性紫斑病とピロリ菌治療

ヘリコバクターピロリ(通称ピロリ菌)についてご存知の方は多くみえるかと思います。胃潰瘍や胃がんの原因として知っているという方がほとんどかと思いますが、今回は特発性血小板減少性紫斑病とのかかわりについてのお話です。

〇特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
 この病気は体中の皮膚に紫斑ができ、その原因として血液中の血小板が減少する病気です。では、なぜ血小板が少なくなるのでしょうか?その理由は長く明らかになってきませんでした。そして現在もそのほとんどが闇の中にありますが、ピロリ菌がかかわっていることは間違いなく、除菌による治療効果があることもはっきりしてきました。
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〇ピロリ菌がどのようにかかわっているのでしょうか?
 では、ピロリ菌が血小板減少性紫斑病(ITP)にどのようにかかわっているのでしょうか?
ITPは血液中の血小板を“異物”と誤認してしまい、処分してしまう動きをするために血小板が足らなくなることが本態です。そんな中、ピロリ菌が保持しているCagAやウレアーゼなどに対する抗体が、血小板を破壊するというというのです。
まだまだそのあたりの機構ははっきりと解明されてはいないのですが、ピロリ菌の除菌がITPの治療効果に絶大な影響を示すことがはっきりとしている以上、原因として間違いないのでしょう。

〇治療法は…?
 通常の除菌治療と同じです。
胃薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と、抗菌薬であるアモキシシリン及びクラリスロマイシンを7日間服用していただきます。

〇効果は…?
 2/3の患者様に効果があります。しかし、のこりの1/3の患者様には効果が出ないというのがこれまでの国内での治療成績です。

9月 24 2013

台風が本土に接近しています。

台風が来るということは、大気の気圧が下がることを意味します。そのことで、発作が起こったり悪化したりする疾患があります。
前者は気管支喘息や緑内障、後者は慢性の痛みを抱えた方です。
いずれもご注意くださいますよう、お願い申し上げます。

9月 24 2013

海部医療圏第38週(9月16日~21日)感染症情報

手足口病が,再度増加傾向です!

 わずかながらですが少し筒ずつ減っていた手足口病が、再度の増加傾向を示しています。
当然警報終息基準値を超えています。ご注意ください!

その他感染性胃腸炎、アデノウイルス感染症の報告が見られます。こちらのほうもご注意ください。

9月 23 2013

男性の更年期~性腺機能症候群(LOH症候群)

  今日は男性の更年期障害である、性腺機能症候群(LOH:late onset hypogonadism syndrome)についてのお話です。
更年期といえば女性のイメージが強いのですが、昨今は男性の更年期症状も社会問題化してきました。

○ストレスが原因となりやすいのです
 男性更年期は男性ホルモン量が減少することで起こってきます。女性更年期が女性ホルモン量の減少が原因であることを考えると、ちょうど反対側ということになりますね。
では、減少する原因はどこにあるのでしょうか?
これはストレスによると言われています。社会的に多忙を極める40~50代が減少することがわかっていますし、職業的にも社会的規範に縛られる人例えば教師などは量が少ないと言われます。
反対にスポーツ選手やミュージシャンなど、ものを創造したり表現していく職業の方は減少しにくいと言われています。
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○色々な症状が出てくるようです
 男性更年期の症状は、当然精力減退ということが一番に挙げられます。
そのほかには全身の倦怠感ややる気の減退などがあげられます。

○診断方法は?
 では、どのようにして診断を確定していくのでしょうか?
まず一つにはAMSスコアという診断ツールで行います。これは患者様自身が日頃どんな症状を感じているかという内容の質問です。
 また、体内の男性ホルモン自体も測定します。
フリーテストステロンを測定し、8.5pg/ml以下となった場合は治療を開始します。なお、男性ホルモンは一日のうち多く分泌される時間帯とそうでない時間帯があります。最高値は午前中に到達するので、診断上最高値を測定する必要があるため、午前中に測定いたします。

○治療方法は?
 エナント酸テストステロンという製剤を注射することで治療とします。1回125~250mgを2~4週ごとに注射します。
欧米ではゲル製剤を塗ったりパッチ製剤を貼ったりといった治療法があるようですが、本邦ではまだ認可されていません
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〇副作用は?
 では、この薬に副作用はあるのでしょうか?
ひとつには、前立腺がんを患っておられる方に悪く作用する可能性があります。よって、すでに前立腺がんがある方、あるいはその可能性が示唆されるかた具体的には血液検査でPSA値が2以上の方には使わないほうがいいとなっています。
ほかには多血症があります。これは頻度の多い副作用です。
治療期間中に定期的に採血検査を行って、その傾向が出てきたら治療中断・中止となることもあります。

〇漢方薬も効果ありです
 漢方薬に「人参」というものがあります。これは朝鮮人参のことであり、スーパーで売っているものではありません。人参は男性ホルモンを増やす効果があります。これが入った「補中益気湯」「牛車腎気丸」を合わせて飲むのも効果があるといわれています。

9月 18 2013

海部医療圏第37週(9月9日~14日)感染症情報

まだまだ手足口病が流行中です。

警報終息基準値から下回ることなく推移しています。引き続き注意していただきたいものです。
また、RSウイルス感染症も増加中です。

朝晩が涼しくなってきて、気管支喘息が流行って来ました。持病としてお持ちの方は、こちらのほうも気を付けていただきたいと思います

9月 12 2013

ジオネラ肺炎

今日はレジオネラ肺炎という少し変わった肺炎のお話しです。

〇温泉で感染する肺炎です
 皆さんは温泉がお好きですか?そう聞かれて“はい!”とお答えになられる方は多いと思います。
しかし、温泉で感染する肺炎があることをご存知でしょうかと言われ、知っておられる方は少数派かと思います。もちろん温泉に行けば必ず感染するというものではありません。
使ったお湯を使いまわしている、循環式の温泉に発生することが多いのです。

〇貯水槽内で増殖します
 この肺炎はレジオネラ肺炎と言い、「レジオネラ菌」によって引き起こされます。
このレジオネラ菌はぬるま湯の中で増殖する特徴があり、ゆえに循環式の温泉でこの病気は発生するのです。ぎゃくにかけ流しの温泉では発生する可能性が低くなります。

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〇呼吸困難が早期からみられます
 では、このレジオネラ肺炎はどんな症状をきたすのでしょうか?
症状としましては、咳・痰・発熱・筋肉痛など、通常の肺炎と似たような症状をとります。ただし、呼吸困難が早期からみられるということが特徴的所見です。

〇診断はどうするのでしょうか?
 これといった特徴的症状が乏しいレジオネラ肺炎ですが、診断はどのようにするのでしょうか?
症状で診断しにくい以上、体内の菌を捕まえるしかありません。
方法は血液培養や尿中抗原で確定します。血液培養とは、血液を採取してきて血中にいる菌を実験室でわざと栄養を与え成長させることで“いる”という証拠にしようとするものです。尿中抗原とは菌の足跡ともいえる抗原を測定することで“いる”という証拠にしようとするものです。

〇治療方法
 治療方法は、ばい菌退治ゆえに薬を投与します
マクロライドとかニューキノロンといったカテゴリーに属する薬を投与することが治療の第一選択とされています。

9月 11 2013

海部医療圏第36週(9月2日~7日)感染症情報

手足口病、ヘルパンギーナがくすぶっています

 少しずつ減ってきていていましたが、ここのところ横ばいが続いています。
またRSウイルスやアデノウイルスも多く報告があるので、気を付けてください。

9月 06 2013

海部医療圏第35週(8月26日~31日)感染症情報

手足口病・ヘルパンギーナともに減少傾向です!

終息方向に向かっているようですが、手足口病は警報終息基準値を超えている状況です。
今しばらく注意しましょう。

全体的には感染症は落ち着いてきている印象です。過ごしやすい季節がそうさせているものと思われます。

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