1月
23
2012
めまいは多くの方が経験する症状です。めまいを感じると“この先どうなってしまうのだろう?”という思いに駆られてしまいます。
今日はめまいの簡単な診断方法についてのお話しです。
○中枢性めまいと末梢性めまい
めまいの原因を考える上でまず大切なことは、原因の場所によって末梢性と中枢性にわけて考えることです。末梢性とは内耳・前庭といった耳に関する場所に原因があると思われる場合です。一方中枢性とは脳幹・小脳といった脳に関係する場所に原因があると思われる場合です。当然後者の方が重症であるため、どちらなのか?というあたりをつけるのは大変重要になってきます。
○中枢性と末梢性のちがい
では、重症になりやすい中枢性は末梢性と比べてどんな特徴があるのでしょうか?
それはめまい以外に神経症候を呈することが多いということです。
神経症候とは意識が遠のいてきたり、呂律がまわらないとかフラフラと倒れてしまったり、感覚がマヒするなどといった症状です。
よく回転性めまいなら耳からの原因だと決めつける方が見えますが、確かにその場合が多いものの、決めつけてはいけません。
○末梢性めまいの特徴
では、比較的生命の危機に関係しない末梢性のめまいの特徴はどんなものがあるのでしょうか?
1、懸垂頭位での疥癬垂直混合性眼振
2、左下頭位および右下頭位での方向交代性眼振
3、頭位によらない方向固定性眼振
このような眼振が1~2週間以内の短期間に限って起こることが多いと言われます。
きょうはめまいの特徴についておはなししました。
1月
19
2012
今日もめまいについてのお話しです。
○めまいの種類
めまいには「回転型」「動揺型」「失神型」の3つがあります。
「回転型」とは周囲がグルグル回るように感じる状態で、「動揺型」とは船に揺られているようなフワフワしたように感じること、「失神型」とは目の前が暗くなる気を失うと表現されるものです。
○めまいの原因
めまいの原因は多岐にわたります。
それはめまいとは我々の平衡感覚が侵されることで、その平衡感覚を司るのが“視覚系”“迷路前庭系”“体性感覚系”とあるからです。そしてこれらから入ってきた平衡感覚に関する情報は脳幹の前庭神経核・脳幹網様体・小脳に入り統合されて、眼球運動を司る眼筋をはじめとする四肢・体幹へ平衡感覚を保つよう命じます。そのためそれらが侵されてもめまいは起こるわけです。
○めまいの疫学
これほど多くの機構が平衡感覚に関与しているので、原因を特定するのは容易ではありません。
ただしめまいを感じた方のデータからひも解くと、半数の方が末梢性(耳が原因)で、そのなかでも良性発作性頭位めまい症が一番多いとされています。
今日もめまいについてお話しさせていただきました。
1月
16
2012
今日はめまい(眩暈)についてのお話です。
めまいはとてもありふれた病態で、みなさんもご存知かと思います。しかしその原因はというと、とても多岐にわたるためなかなかつかみ切れず「原因不明」とされることもめずらしくありません。
今日はそのめまいについてのお話しをしていきます。
○めまいを感じたら…
めまいを感じられたらまずしていただくことは、助けを求めることです。
それは脳卒中など、重症の疾患が原因によることがあるためです。しかし、うろたえる必要はありません。めまいを感じると“この先どうなっちゃうんだろう?”という気持ちになってしまうのもやむをえませんが、俗に命の危険までは無いといわれています。そのようなことから、助けを呼んで冷静な対応をおねがいしたいところです。
○原因にはどんなものがありますか?
めまいの原因はとても多岐にわたります。
その領域は耳鼻咽喉科・脳神経・循環器・精神科・心療内科・整形外科・眼科にわたり、医師は“どの領域に原因がありそうかな?”という観点で考えます。
今日はめまいのついて、ほんの少しお話をさせていただきました
1月
11
2012
今日もMRワクチンのお話しです。今日はワクチン接種後の心構えについてです
○ワクチンの成功率は…?
ワクチン成功率は95%です。となると残りの5%は…?となりますね。
この方々はどうしても感染してしまうことになります。麻疹・風疹両方に感染してしまいます。ここで問題なのは妊婦が感染することです。おなかの赤ちゃんにたいへんな後遺症を残しかねないので、女の子はとくにしっかり抗体があるかどうかを見極めなくてはなりません。
○抗体検査をしましょう
ではどうしたら麻疹・風疹ワクチンで無事抗体がついたかどうかわかるのでしょうか?
それは接種後2カ月後に血液で抗体検査をすることがその解決になります。
風疹はHI抗体価で女性の場合32~64倍、男性で16倍必要です。いっぽう麻疹は同じくHI法で男女とも8倍以上必要です。年長児や成人はNT法で4倍以上となっています。
○次のワクチンは
MRワクチンは次のワクチン接種まで4週間以上間隔を開けなくてはなりません。
4週間以上あけて、次はおたふくや水痘のワクチンを接種していただくのが良いでしょう。
これまで3回にわたってMRワクチンのお話をさせていただきました。
1月
11
2012
きょうは口腔ケアとそれによって可能な疾患予防のお話しです。
○歯周病が防げます
口腔ケアをすることで当然虫歯になりにくくなることは当たり前ですが、歯周病という歯茎を痛める疾患からも防ぐことが出来ます。
しかも最近の研究で歯周病は心臓疾患・糖尿病・骨粗鬆症・関節リュウマチと関連性があることが分かってきました。
歯や歯茎を守ることで栄養状態が良くなって、結果糖尿病や骨粗鬆症になりにくくなる。あるいは歯石の発現をおさえることで血液中のカルシウム分が減り、心筋梗塞や脳卒中などに発展しにくくなるのです
いままで医科領域と歯科領域で人々の健康について横断的に語られることは多くありませんでした。しかし身体はひとつです。当然何らかのつながりがあっておかしくないわけで、今後はこれらについての研究が協力してなされることを期待したいですね。
1月
11
2012
近年逆流性食道炎(GERD)に関する関心が高まっています。それは高齢の方にGERDが増えてきているからなのですが、きょうはそのGERDに関するお話です。
○どうして増えているのでしょう?
その理由はいくつかあります。
食道裂肛ヘルニアという病気を持っておられるかたが多いことが原因の一つです。これは胸とお腹を分けている横隔膜がゆるんで、胃が胸の方に出てきてしまっている状態です。
また骨粗鬆症などで背骨が崩れてしまっている方は猫背がちになります。これが消化器機能に影響することがあります。
○意外なところに原因が
加えて最近意外なところに原因があることが分かってきました。
ピロリ菌という名前を聞いたことがある方は多いと思いますが、ピロリ菌感染がない方ほど逆流性食道炎を発症する率が高まります。ピロリ菌がないと胃酸分泌が高まりますが、その結果食道裂肛ヘルニアなどと相まってGERDを発症するのです。
ピロリ菌感染は近年胃がんとの関連性を指摘されています。なんとも裏腹な感じがしてきますね。
今日は逆流性食道炎(GERD)のあらましについてのお話しでした。次回は症状や治療についてのお話をいたします。
1月
10
2012
今日は高齢者の口腔内ケアと様々な新案との関連性についてのお話です。口腔内ケアは単に歯を守るだけの目的にとどまらないことが、最近の研究で分かってきました。
○口腔ケアの目的と効果
口腔内のケアによってまず達成されることは口の中がきれいになり、口臭が減るということです。これは周囲に迷惑をかけないという点でも重要です。
また当然歯が守られる結果咀嚼力と咀嚼効率が上がりますので、栄養状態の改善につながります。
○口腔ケアによってもたらされるオマケ
口腔ケアをすることで思わぬ身体に良いことがあることが分かってきました。
その一つが咳反射・嚥下反射の反射がよくなることです。
高齢の方は嚥下反射が悪くなることで飲み込みがしにくくなったりして食事摂取が悪くなったりします。また今度は食物が気道の方に誤って入っていこうとした際に咳によって吐きだす機能があるのですが(…むせるとよく言いますね)、高齢者は反応低下となります。しかし口腔ケアでこれが改善していくことが分かっています。
さらに認知機能低下を防止する効果もあります。歯を磨くことでボケないというのです。
今日は口腔ケアの身体的効果のお話しでした。次回は口腔ケアと疾患予防について少し触れます。
1月
09
2012
今日は前回に続き、臓器障害の診断と代謝・酸化マーカーについてのお話しです。
今日は特に酸化ストレスマーカーのお話しです。
○インスリン抵抗性について
近年インスリン抵抗性ということがいわれるようになってきました。
インスリン抵抗性とは膵臓から放出されるインスリンが効果を発揮する場所(細胞)でも思い通りに発揮できない状態をいいます。空腹時の血糖値とインスリンによって算出されるHOMA指数にてそれを読み取ります。この数値が大きいほど抵抗性が大きく、糖尿病の程度は重症といえます。
○Reactive oxygen metabolites(ROM)について
この指標は現在研究中ですが、大変に期待されている指標です。
将来医療の進歩に寄与する検査であることがわかるといいですね。
2回にわたって臓器障害の診断と代謝・酸化マーカーについてのお話でした。
1月
08
2012
今日は「臓器障害の診断における代謝・酸化ストレスマーカー」と題してのお話です。糖尿病や高血圧が心臓や腎臓などに悪影響があることはみなさんご存知の事と思います。しかし、現在どれくらいの影響が出ていて、体調の異変が感じられるまでにどれくらいかかるのかなどは分かりません。実際に現れてから「出てきてしまった…」と悔やむのです。
しかし近年の研究でその進行状況が分かるかもしれないという所まできました。それは最近発見された血液中の代謝や酸化に関係する物質が、それを可能にするというのです。
今日はそれらについてのお話しです。
○高分子アディポネクチンとは…?
高分子アディポネクチンとは脂肪細胞から分泌される物質で、肥満の方や糖尿病の方は減ってしまうことが知られています。しかも減ることで動脈硬化や心臓疾患を引き起こすことが分かってきました。
また最近の研究では降圧薬や血糖降下剤の種類次第で高分子アディポネクチンを改善することが判明し、治療に用いる場合にもその選択が重要になってきています。
○高感度CRPとは…?
高感度CRPとは以前より測定されてきた炎症の程度を示すCRPをさらに高感度のもので測定することで、将来心血管病を起こしてくる可能性があるかどうかを予測できる指標になります。また先に紹介した高分子アディポネクチンと両方見ることで、よりリスクが高いかどうかを厳密に予測できることも分かってきました。
明日はこれ以外の指標になる物質を紹介いたします。
1月
06
2012
近年、家庭における24時間血圧測定が保険で出来るようになりました。
今日はその24時間血圧測定の目的と、どのような方に行うのかというお話です。
○リスクの高い人に適応があります
24時間血圧測定は高血圧の診断が下っているからといって、みなさんに適応があるわけではありません。
昼間や夜間、つまりあまり血圧測定をする機会にない時間帯に血圧が上がる方に、測定をお願いします。このような方は普段医師の指示通り降圧薬を飲んでいても職場や就寝中に危機的な状況が起こりかねません。こういったリスクの高い方に測定をお願するのです。
○リスクが大きいのかどうか…?
ここで、ご自分がリスクが大きいのかどうかわからない、という方が見えると思います。
では、どんな方が該当するのでしょうか?
まず昼間血圧が上がるのは、仕事などで昼間にストレスを抱えているとか、左室肥大がある方です。また夜間血圧が上がるのは、糖尿病や慢性腎臓病といった慢性疾患をお持ちの方です。
このような方には24時間血圧測定をしていただきたいと考えています。
1日の血圧をしっかりコントロールすることを『パーフェクト24時間血圧』といっています。それには24時間の血圧が平均して130/80mmhg未満であること、夜間血圧が昼間に比べて10~20%下がる“サーカディアンリズム”があること、1日の中で行きすぎた変動とくにモーニングサージがないことの3点が重要です。
患者さまご自身が、1日のうちで自分の血圧がどのような変動をして、結果どんなリスクがあるかを理解していただきたいと考えています。