3月 08 2011
RSウイルスと障害児について…
RSウイルスをご存知でしょうか?このウイルスは風邪の原因となるウイルスで、風邪自体がごくごくありふれたものであるため、逆になじみがないのかもしれません。
今日はそのRSウイルスのお話しです。
○初感染時が要注意です。
ありふれたウイルスゆえ、ほぼ100%の子どもが2歳までに感染いたします。しかし、ありふれたといっても、生まれて初めて暴露された子どもには当然なじみがありません。つまり免疫がない、ということになります。よって初感染時は重症化の可能性があります。通常風邪といえば“咳”“鼻水”“くしゃみ”、あるいは軽度の発熱といった程度ですが、肺炎などを引き起こすことがあります。
○心臓、肺に障害のある児はとくに要注意です
このような重症化はどのような時に起こるのでしょうか?
通常、健康な子どもには数%位の確率で起こるのですが、心臓に障害のある子どもは10%位の確率で重症化するというデータがあります。しかも風邪のレベルから、重症化して集中治療室管理になるのが、4~5日くらいの時間で起こってくると言われています。
また重症化した子どものうち、数%は死亡するケースがあるのです。
○治癒後はどんな後遺症があるのでしょうか?
では、重症化した子どもが治癒した後はどんな障害が残るのでしょうか?
肺炎を引き起こしたケースでは将来喘息を起こしやすいというデータがあります。それ以外はあまり目立った後遺症はありません。
○障害のある子どもには、予防する注射があります
では、危険性の高い子どもには何か手立てはないのでしょうか?
現在国内では抗ウイルス抗体を注射することで、予防をしています。この注射はRSウイルスが流行するシーズンに筋肉注射で月に1回行うものです。心臓や肺にリスクのある子どものみに適応があります。
ひとくちに“風邪”といっても軽く見てはいけません。『風邪は万病のもと』ということわざをご存知かと思いますが、油断は大敵ということですね。
