9月 26 2013
特発性血小板減少性紫斑病とピロリ菌治療
ヘリコバクターピロリ(通称ピロリ菌)についてご存知の方は多くみえるかと思います。胃潰瘍や胃がんの原因として知っているという方がほとんどかと思いますが、今回は特発性血小板減少性紫斑病とのかかわりについてのお話です。
〇特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
この病気は体中の皮膚に紫斑ができ、その原因として血液中の血小板が減少する病気です。では、なぜ血小板が少なくなるのでしょうか?その理由は長く明らかになってきませんでした。そして現在もそのほとんどが闇の中にありますが、ピロリ菌がかかわっていることは間違いなく、除菌による治療効果があることもはっきりしてきました。
〇ピロリ菌がどのようにかかわっているのでしょうか?
では、ピロリ菌が血小板減少性紫斑病(ITP)にどのようにかかわっているのでしょうか?
ITPは血液中の血小板を“異物”と誤認してしまい、処分してしまう動きをするために血小板が足らなくなることが本態です。そんな中、ピロリ菌が保持しているCagAやウレアーゼなどに対する抗体が、血小板を破壊するというというのです。
まだまだそのあたりの機構ははっきりと解明されてはいないのですが、ピロリ菌の除菌がITPの治療効果に絶大な影響を示すことがはっきりとしている以上、原因として間違いないのでしょう。
〇治療法は…?
通常の除菌治療と同じです。
胃薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と、抗菌薬であるアモキシシリン及びクラリスロマイシンを7日間服用していただきます。
〇効果は…?
2/3の患者様に効果があります。しかし、のこりの1/3の患者様には効果が出ないというのがこれまでの国内での治療成績です。