7月 10 2011
慢性心不全の外来治療~BNP値を目安に行います~
今日はとくにご高齢のかたで『慢性心不全』と医師に言われている方へのお話しです。慢性心不全を悪化させないために、どのように治療をすすめて行けばいいのでしょうか?
○近年の治療戦略の立て方
慢性心不全の病名で定期的に近所の病院にかかっている方は多いと思います。とくにお年寄りの方は心臓の機能が衰えてくるので、高血圧とともに慢性心不全という状況になっている方も珍しくありません。
では近年では、どのような治療の組み立てをするのでしょうか?
まずはご家庭での血圧測定により、血圧のコントロールをいたします。血圧が高いと心筋梗塞などを起こしかねません。
それとともに血液検査をさせていただきます。血液中のBNPという値を測定することで慢性心不全の治療戦略を立てるのです。
○BNPとは・・?
BNPとは脳性ナトリウム利尿ペプチドといい、心不全が酷くなるにつれてその値も高くなります。それゆえ現在では、心不全の程度と治療の効果判定に使われているのです。
○BNPをどのように生かすのでしょうか?
現在の日本の医療界では、BNPは100pg/mlを基準にしています。これ以上値が増えると“慢性心不全が存在している”と解釈します。そして胸レントゲンを撮らせていただき心臓が膨れ上がっていないか、心臓エコーで心臓の動きは悪くなっていないかを調べます。
また異常に値が悪かった方が治療によって低くなってきた際に、どこまで下げるといいかを判定する際にも用います。100pg/mlが基準といえど、人によって“正解”は違います。普段の生活における体調がどれくらい改善してきたかをお聞きするとともに、BNPを測定させていただいたり胸レントゲン・心臓エコーをさせていただいたりすることで、その方の“正解”を探すのです。
このように心不全治療は普段の体調と検査データーのすり合わせで、その人に合った
“正解”を探していくのです