8月 25 2010
最近の肝臓障害のお話~NASHとは…?~
皆様にとって肝臓の病気といいますとお酒の飲み過ぎによるアルコール性肝障害や肝臓がんの原因になるC型肝炎を代表とするウイルス性肝障害が思い起こされるのではと思います。しかし近年これらの病気は医学の進歩や生活スタイルの変化によって激減してまいりました。でもそれで喜んでいられないのが、世の常です。新たな肝臓障害が台頭してきました。それをNASHと呼びます。このNASHという聞きなれない病気のお話です。
○NASHってなんだ…?
NASH(non-alcoholic steatohepatitis)とは非アルコール性脂肪肝炎といいます。この日本語名から、ある程度病気の正体がわかっていただけるのではと思います。
このNASHは脂肪肝が原因で起こってくるのですが、最近はこの脂肪肝の患者さまが大変多くなっています。メタボリックシンドロームに該当される方をイメージしていただければいいと思います。
○NASHの何がいけないんだ?
NASHは最終的に肝硬変になってしまう可能があると言われています。そして野の中の一部が肝臓がんになってしまうというのです。
○原因は何でしょうか?
では原因は何でしょうか?
肥満・糖尿病・高脂血症などにより高インスリン状態やインスリンに対する抵抗性が高まります。これにより肝臓の細胞は攻撃されます。またその後に脂質過酸化による酸化的ストレスが持続し、やはり肝臓の細胞を破壊します。これをツーヒットセオリーと呼んでいます。
○どのようにNASHを察知するのでしょうか?
NASHを察知するのは血液検査が有用です。血清フェリチンという血液中の鉄分に関係する成分が異常に高い値を示してくることが多いようです。
○治療法は…?
これまでのお話から推察していただけるのではと思いますが、メタボを予防することが治療の第一歩です。食事と運動ということです。
治療薬は高脂血症薬・肝疾患治療薬などです。また鉄分に関係する血清フェリチンの話題が出ましたが、鉄分を摂らないように食事を気をつけることも治療とされています。
