8月
14
2011
今日は壊死性リンパ節炎(菊池病)についてのお話しです。
○壊死性リンパ節炎とは…
壊死性リンパ節炎とは1972年菊池昌弘先生が報告した疾患で、菊池病とも言われています。
特徴は若い女性に多く、初めは咽頭痛や発熱などの感冒のような症状に始まって、次第に頸部のリンパ節はだれが見ても明らかなくらい腫れあがります。この腫れあがったリンパ節は、触るとかなり痛がります。最初は普通の風邪の症状と同じなので見分けがつかず、あまりにも風邪にしては経過が長すぎるということで色々調べていくと、この疾患にたどりつくという経過をとることが一般的なようです。
○診断を確定するには…
この病気と診断するには大変困難を伴います。それは決定的な特徴的所見がないからです。頸部のリンパ節が腫れてくる病気となれば通常は白血病を疑います。あるいは結核もその範疇に入ってきます。さらに言えば白血病や結核はカゼ症状を呈するのです。
そうなると確定するにはリンパ節をほんの少し採取して、顕微鏡でのぞくことで診断はやっと確定するのです。
○治療法は…?
診断が確定すると治療はどうなるかということが問題になってきますね。
しかし特効薬はありません。しかし何もしないわけにもいきませんので、リンパ節の痛みには痛みどめを用います。実際はそれくらいの治療しかできません。
○予後は…?
治療法があまりないとなると、この先が心配になってきます。
しかしこの病気は自然寛解するので心配ありません。いわば“日にち薬”というわけです。
今日はめずらしい壊死性リンパ節炎のお話しでした。
8月
12
2011
前回より真の悪玉コレステロールとして小型LDL(samll dense LDL)のお話をしてきました。今日はその続きです
○小型LDLは測定できません
では、真の悪玉である小型LDLはどのようにして測定するのでしょうか?
真の悪玉というからにはしっかり測定したいものですね。しかし現実には保険が適応されないのでホイホイとはできません。
ただし代用できるものはあります。
それはnon-HDLコレステロールを測定することです。総コレステロール値からHDLコレステロール値を引いた数値ですが、この値はsmall dense LDLと相関性があると言われています。

○小型LDLが多い人にはどんな人がいるのでしょうか?
では小型LDLが高値になる方の特徴はないのでしょうか?
小型LDLが高い値を示すのは糖尿病やメタボリックシンドロームの方といわれています。これらの方々は中性脂肪が高値でHDLコレステロールが低値を示します。
○治療はどうするのでしょうか?
コレステロールの治療薬にHMGco-A還元酵素阻害薬(スタチン)があります。この薬はLDLの値を改善する効果があるので、高LDL血症に使用します。
しかし中性脂肪も高いという方も見えます。このような方にはフィブラートを使用します。フィブラートはLDLは改善しませんが、小型LDLを改善するので効果があるということです。
2回にわたって真の悪玉コレステロールのお話をさせていただきました。
8月
11
2011
今日は悪玉コレステロールの最新の知見のお話をします。
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)という言葉はどこかで聞いたことがあると思います。それはコレステロールは善玉と悪玉があり、身体に悪い影響を及ぼすのは悪玉の方である、ということだと思います。
しかし、最近悪玉コレステロールについて更に細かいことが判ってきました。
きょうは悪玉コレステロールの最新の知見です。
○悪玉コレステロールが悪いわけ
悪玉コレステロールはどのように悪さをするのでしょうか?
悪玉コレステロールは主に血管に悪影響を及ぼします。血管は網の目のような構造になっています。けっして水道管のような管構造ではありません。その網の中に入って行って、居座ってしまうのです。網の目の中に入ってしまうと当然血管は伸縮性をなくしてしまいます。これが“動脈硬化”です。
つまり悪玉コレステロールは動脈硬化の原因となるから『悪玉』なのです。

○悪玉コレステロールを更に分解してみると…
この悪玉コレステロールをさらに分解してみると、もっと細かいことが分かってきました。
同じ悪玉コレステロール(LDL)といってもさらに大きいものと小さいものがあり、小さいもの(小型LDL:small dense LDL)のほうがより悪者だということが分かってきました。
当然サイズがより小さいほうが網目構造をくぐりやすいということがあります。それに加えて酸化しやすいという特徴があり、酸化がとても毒性の高くなる原因なのです。
○小型LDLはどれくらい悪さをするのでしょう?
小型LDLが多い人は大型LDLが多い人にくらべて心筋梗塞に罹患する人が3倍多いと言われています。
これは驚異的な数字といえると思います。
次回は小型LDL(small dense LDL)について更にお話を進めます。
8月
10
2011
こむら返りという現象は、みなさん一度は経験されたことがあると思います。今日はこむら返りにつついてのお話しです。
○多くの原因があると言われています
こむら返りに原因はとても多くが証明されています。その中でも腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの神経刺激疾患や、肝硬変や腎疾患甲状腺疾患などの内科的な疾患が関与すると言われています。また高脂血症薬やホルモン製剤なども関係いたします。
○生活用式の変化も原因です
先ごろ発表された論文では、アキレス腱を伸ばさなくなったことが原因であると言っています。これはトイレの様式が標準的になるにつれてアキレス腱が進展する機会が減り、こむら返りの起こる要因となったというのです。
○痛みが起こったら…?
では発作的に痛みが起こったらどうしたらいいのでしょうか?
まずはゆっくりと下肢を伸ばしてあげることです。それと同時に軽くマッサージをするのも良いでしょう。
またいくつかのお薬を飲むことが有効とされています。
たとえば下剤としてのマグネシウムやユベラなどのビタミンE、漢方薬の分野で芍薬甘草湯などに効果が認められます。
○予防法は…?
実ははっきりとした予防法はありません。
ただし、ストレッチが有効であると考えている研究者もいるようです。またカフェインの摂り過ぎも行けないとされており、コーヒーを飲みすぎないよう注意することが大切と思われます。
ありふれた症状であるこむら返りですが、なかなか有効な手立てが見つかっていないのが実情です。はやく特効薬が出来ると良いですね。
8月
09
2011
今日は前回に関連して、社会心理学的疼痛症候群のより深いメンタル面へのアプローチです。慢性的に痛みを訴える患者さまの中にはうつ病・不安障害・心気症・身体化障害・適応障害などを合併している場合があります。これらの精神的な歪みへのアプローチに関するお話しです。
○心理テストを行います
通常の痛みの治療を行ってよくならない場合は心理的な要因があると考えて、心理テストを行います
○ミネソタ多面人格目録
人格評価の大変有名なテストに『ミネソタ多面人格目録』というものがあります。
これは患者さまに510項目の“はい・いいえ”で答えられる質問をするものです。
○BSPOP(BRIEF SCALE FOR PSYCHIATRIC PROBLEMS IN ORTHOPEDIC PATIENT)
このテストは福島医大が開発したもので、医師などの治療者に8項目患者さまに10項目の質問をします。
そして治療者が11点以上、もしくは治療者用が10点以上で患者さま用が15点以上の場合、何らかの精神的な障害があると判断すべきであるというテストです。
○SDS(SELF-RATING DEPRESSION SCALE)
もうひとつやっておくのがいいのがうつ病に対する『うつ病自己評価尺度(SDS)』です。
現実的に痛みが長引いている患者さまのなかで精神的な問題を合併している場合、うつ病が多いことが分かっています。これをやっておくことで色々な精神的な問題による痛みが早く良くなる可能性が高くなります。
今回は社会心理学的疼痛症候群についてさらに突っ込んだ内容のお話しになりました。
8月
09
2011
近年、社会心理学的疼痛症候群という言葉が医学会の中で言われるようになってきました。
聞きなれない言葉であるとは思いますが、みなさんにとってとても関係することがある事柄なので、今日はこのお話をさせていただきます。
○簡単な定義は…?
社会心理学的疼痛症候群とは“痛みを訴えられる方の背景に、社会・生物・心理的な要素が絡まったもの”ということになります。
つまり、例えば腰痛を訴える患者さまの背景として、家庭や職場で色々問題を抱えていて軽いうつ状態にあるといったことです。
○医師の対応は…?
こういった場合医師は精神科医や理学療法士などと連携して治療にあたります。
しかし、このようなことはまだ医師の中でもしっかりとした認識が広まっておらず、なかなか適切な対応が出来ているとは言いにくいのが現状です。
○現実的な対応は…?
では、患者さまたちはどのようにしたらいいのでしょうか?
我われは日常診療の中で診察やレントゲン等の検査を行っても異常が見つからないことをよく経験いたします。そんな時に“なにも異常はありませんよ”となるのですが、そこで『心理的なことでしょうか…?』と水を向けていただくのがいいでしょう。
そこで精神科や理学療法士との連携などを模索していただくのが良いと思います。
先ほど医師の中でも認識が広まっていないと記載しましたが、主治医がそのような意思と思わしき方なら変更を考えてもいいのではと思います。
きょうは社会心理学的疼痛症候群について、そのあらましをお話しさせていただきました。
8月
08
2011
近年、社会心理学的疼痛症候群という言葉が医学会の中で言われるようになってきました。
聞きなれない言葉であるとは思いますが、みなさんにとってとても関係することがある事柄なので、今日はこのお話をさせていただきます。
○簡単な定義は…?
社会心理学的疼痛症候群とは“痛みを訴えられる方の背景に、社会・生物・心理的な要素が絡まったもの”ということになります。
つまり、例えば腰痛を訴える患者さまの背景として、家庭や職場で色々問題を抱えていて軽いうつ状態にあるといったことです。
○医師の対応は…?
こういった場合医師は精神科医や理学療法士などと連携して治療にあたります。
しかし、このようなことはまだ医師の中でもしっかりとした認識が広まっておらず、なかなか適切な対応が出来ているとは言いにくいのが現状です。
○現実的な対応は…?
では、患者さまたちはどのようにしたらいいのでしょうか?
我われは日常診療の中で診察やレントゲン等の検査を行っても異常が見つからないことをよく経験いたします。そんな時に“なにも異常はありませんよ”となるのですが、そこで『心理的なことでしょうか…?』と水を向けていただくのがいいでしょう。
そこで精神科や理学療法士との連携などを模索していただくのが良いと思います。
先ほど医師の中でも認識が広まっていないと記載しましたが、主治医がそのような意思と思わしき方なら変更を考えてもいいのではと思います。
きょうは社会心理学的疼痛症候群について、そのあらましをお話しさせていただきました。
8月
07
2011
ポリオという病気をご存知でしょうか?なかなかなじみの無い名前かと思います。それもそのはず、すでに日本では予防接種に長い歴史があり感染・発症はありません。
しかし、かつてポリオワクチンを追加接種しなくてはならない方が見えます。
○昭和50年から52年生まれの方へ…
追加接種の必要性があるのが昭和50年から52年生まれの方です
この時期は接種した人が少なかったのと、出回っていたワクチンの性能に問題があったからです。
○昭和48年、49年生まれの方へ…
しかしここで落とし穴があります。それは昭和48年・49年生まれの方で、昭和51年~53年に接種をした方も追加接種の必要性があるのです。
それはポリオワクチンは生後3~90カ月の間に接種することが決められているからです。ということは、48、49年生まれの方でも50~52年生まれの方と同時期に性能の劣るワクチンを接種をした可能性があるのです。
○どんなマイナスがあるか?
ではワクチンを接種しないとどんなマイナスがあるのでしょうか?
まず考えられるのが、ポリオワクチンを飲んだお子さんの便からの感染が考えられます。お子さんは国の事業としてポリオワクチンを経口接種します。当然糞便にはある程度のポリオが混ざっているので、おむつを片づける際にそれを吸いこんでしまう可能性があるのです。
またインドやアフリカ中央部、インドネシアに行かれる方やそれら地域の方との接触がある方も要注意です。これら地域ではポリオがまだ発生しているのです。
ポリオワクチンは子どものものと考えずに、積極的に接種をしていただきたいものです。
8月
06
2011
今日は前回に引き続き予防接種の副作用・副反応についてのお話です。
○インフルエンザ
インフルエンザワクチンの副反応は接種部位の発赤・腫脹と発熱倦怠感がともに5%以下で見られます。

また副作用はワクチンが卵を使って精製されている関係上卵アレルギーによるアナフィラキシーショックがみられます。
8月
05
2011
今日は予防接種の副反応・副作用についてのお話しです。
○副反応と副作用
まずは副反応と副作用という言葉の違いです。
副反応とは“通常見られる反応”のことで、副作用とは“異常な反応”の事を指します。具体的には前者には軽い発熱、倦怠感、接種部の発赤・腫脹といったことで、後者はけいれん、ショック状態、アナフィラキシーショックなどをいいます。
わかりやすくいえば身体全体に影響がある反応か否かといったところでしょうか?
では、ワクチンごとに副反応・副作用などをみていきましょう

○三種混合ワクチン
三種混合ワクチンの副反応は接種部位の腫脹・発赤で20~30%、2日以内の発熱が2~3%となっています。接種部位の腫脹・発赤は数多のワクチンの中でも飛びぬけて多い反応で、“必発”くらいに受け止めていただきたいものです。
一方副作用は前腕までに達する発赤、接種後の発熱に併発した熱性けいれん、急性脳症などですが、どれも大変低い可能性にとどまっています。
○ポリオ
ポリオワクチンは経口で接種するワクチンで、集団接種にて行われます。ポリオワクチンの副反応は2日以内の発熱、下痢が1~2%の確率で見られます。
一方副作用はほんもののポリオに感染することですが、確率は200~400万人に1人です。なおワクチンを接種しなかった時の自然感染の2000人に1人と比べるととても低い確率で、大変に“安全・優秀”なワクチンといえると思います。
○麻疹(はしか)
麻疹(はしか)ワクチンの副反応は発疹が9%、5~10日の発熱が15~20%に起こると言われています。はしかワクチンの発熱も比較的高い可能性といえ、注意が必要です。
一方副作用では発熱に併発した急性けいれんが0,5%以下、急性脳症・SSPEが100万人に1人以下となっています。またワクチンが卵を使って精製される関係上、卵アレルギーによるアナフィラキシーショックも残念ながら起こっているようです。
○風疹(三日はしか)
風疹ワクチンでの副反応は10~14日後の発疹・発熱が1~2%に起こると言われています。
また副作用として成人女性が接種した場合に関節痛・関節炎が6%以下の確率で見られるとのことです。
○日本脳炎
日本脳炎ワクチンンの副反応は2日以内の発熱が5%以下に、接種部位の発赤、腫脹が2~3%位に見られます。
また副作用としては、極まれに発熱に併発した熱性けいれんが見られるとの報告があります。
○BCG
BCGの副反応は接種部位のハリ跡の発赤・丘疹や4~5週間後の湿潤などがあります。
また副作用として接種ハリ跡の化膿・ケロイド様瘢痕や腋下リンパ節腫脹が0,7%となっていますいずれも大変にわずかな確率です。
次回は任意接種のワクチンの副作用・副反応についてです。