7月
20
2011
今日は石灰沈着性関節周囲炎のお話です。石灰沈着性関節周囲炎という病名は聞きなれない方が多いと思われますが、五十肩と間違われたりする重要な病気のひとつです。
○どんな病気なのでしょうか?
関節を構成する腱や膜にハイドロキシアパタイトやりン酸カルシウムが溜まることで、痛みを起こす病気です。
○どうしてそんなものが溜まるのでしょうか?
では、どうしてそんなものが溜まるのでしょうか?
歳のせいであることありますが、カルシウムやリンの代謝異常、あるいはサプリメントにカルシウムが多く入っている場合、ビタミンAが入っている場合等が挙げられます。
○肩に多く発生します
多くは肩の関節に起こってきます。他には股関節・手首の関節等にも起こることが多いです。
○女性に多い疾患です
7割近くが40~60台の女性に発症してきます。この年代の方で“五十肩”と言われ治療に通っていても、半年から1年経って効果がない場合は再度検査をうけられた方が良いのかもしれません。
○治療方法は…?
やはり痛みがありますので“痛み止め”が多く使われることになります。
また溜まった石灰を超音波で壊してしまう方法や、注射で吸引する方法などもあります。
それでも溜まった石灰が取れない場合は手術で取り去ることを考えます。その際腱や膜を石灰が痛めていることが多いので、それの修復も兼ねます。
きょうは石灰沈着性関節周囲炎という聞きなれない病気のお話しでした。肩の痛みで長くお悩みの方は、一度診察・検査をし直した方が良いのかも知れませね。
7月
17
2011
今日は認知症の発症・進行の予防と治療についてのお話です。
○具体的な方法は?
1、有酸素運動
2、知的活動の習慣化
3、生活習慣病の予防および良好な管理
4、認知機能、生活機能の評価に基づく適切な自立支援と医療連携
5、地域市民への認知症に関する啓発
です。そのなかでも1,2,3は家族やご自身の努力で出来そうなものですね。
なお高血圧と認知症に関連があると言われ始めていることは特筆に値することだと思います。
○治療薬を積極的に使っていきます
現在日本では数種類の認知症治療薬があります。
このいずれも軽症認知症に使うことで効果を発揮します。それは厳密に言うと治療をする薬ではなく、進行を遅らせる薬だからです。現在のスタンダード治療は軽度認知障害の段階で積極的に薬を使っていこうという方向性です。と同時に生活習慣病のコントロールや生活態度の改善も行っていくのがトータルで見た治療ということになります。
以上のように、認知症は“いかに早く察知して、疑わしい場合はちゅうちょなく薬を飲み始め、生活習慣の改善を図る”というのが正しいようです。
7月
17
2011
今日は最近の高血圧の診療のお話しをします。
もうすでに服用している方も見えると思いますが、近年は日本でもタイプの違う降圧薬2剤を1つに合体した薬が登場してきました。いままで2剤飲む必要があったのが1剤になったので面倒が減ったわけです。例えていうならば、カレーとライスを合わせて“カレーライス”として食べるようなものだと理解してください。
今日はその配合剤のお話です。
○ARBと利尿薬の配合剤
最初に登場した配合剤として血管を広げることによって降圧をはかるARBというカテゴリーの薬と、尿を多く出すことで降圧を図る利尿薬が合わさった薬があります。
この薬は日本高血圧学会が2009年に出した“高血圧診療ガイドライン”という指針にも推奨されている薬です。この2剤を組み合わせることで循環血液量が多いような状況の方、つまり肺に血液がたまっていたり身体に浮腫が出来てしまったりしている方に適しています。また血液量が多いと血管の塊の様な臓器である腎臓に負担がかかります。これを尿として出すことで腎臓の負担を減らすのです。
以上のような身体の特性がある方は胸レントゲンや尿のタンパクの確認をさせていただきます。
○ARBとCCBの配合剤
次に登場したのがARBとARBとは別のメカニズムで血管を広げるCCBというカテゴリーの配合剤です。
この薬は動脈硬化があって脳や心臓に血液が廻りにくいというリスクがある方や、糖尿病・メタボリックの方には良いと言われています。
今日は配合剤の簡単な使い分けのお話しをしました。次回は減塩と降圧剤のお話です。
7月
15
2011
今日は前回の続きとして、減塩と降圧剤のお話しです。高血圧の患者さまにとって減塩は大きなテーマであることは、既に承知の方も多いのではないでしょうか?
今日はその食塩と高血圧についてのお話しです。
○なぜ食塩はいけないのでしょうか?
人間にとって塩分は生きていく上で大切であることはご承知かと思います。では高血圧の方にとってはなぜいけないのでしょうか?
当前高血圧の方にも塩分は必要です。しかし、過剰な塩分はいけません。それは塩分が多く身体にあると身体は体内の塩分濃度を一定に保とうとする働きをします。濃度を下げようとするのです。ではどのように下げるのかというと水分を多くとろうとしたり、おしっこを出さないようにします。その結果血液の量が増えてしまい、心臓に負担がかかってくるのです。
そうなるとただでさえ高血圧の方はもっと血圧が高くなり、脳卒中をはじめとする合併症に繋がってしまいます。
○食塩感受性と高血圧
ここで“食塩感受性”という言葉があります。これは「体内の塩分量にどれだけ敏感に血圧が反応するか」という能力を表した言葉です。
しかも高血圧のかたほど敏感に反応する能力が高まってくると言われています。
つまり高血圧患者さまほど塩分にはより気をつけなくてはならないということです。
○利尿剤を使用します
では、高血圧患者さまにとって余った塩分をどのように処理したらいいのでしょうか?
近年では日本高血圧学会の高血圧診療ガイドラインに推奨されている、利尿剤を服用していただくことをお勧めします。
ガイドラインにあるようにARBという別カテゴリーの降圧薬と、少量の利尿薬を服用していただくことで、余った食塩と水分を体外に出します。
また近頃はこの2剤が合体した薬もあるので1剤服用していただくだけで済みます。
2回に分けて高血圧のお話をさせていただきました。
7月
14
2011
今日も前回に引き続き認知症のお話しです。今日は道はやめに察知するかということについてのお話しです
○察知するには…?
どんな病気でも、予防するか進行して手遅れになる前に何か手を打ちたいものですよね。
しかし、これまで認知症は早めに察知することも予防もなかなか出来ないでいました。
しかし近年の研究結果から、察知・予防がある程度可能になってきました。
○軽度認知障害(MCI)とは…?
認知症の前段階として“軽度認知障害(MCI)”というものがあると言われ始めています。
これは・・・
1、本人や家族から記憶障害の訴え
2、正常高齢者に比べて記憶が低下
3、全般的な認知機能はおおむね正常
4、日常生活上問題はない
5、認知症ではない
という定義があります。しかも軽度認知障害は一部の“加齢関連認知低下”とともに『認知症予備軍』であると言われ、65歳以上の2~3割に相当すると言われています。
○軽度認知症はどうなるのでしょうか?
先ほど予備軍であるというお話をしましたが、更に詳しく見ていきましょう
軽度認知症になると1年後にはその10%が、4年後には50%の方が認知症になると言われています。そして認知症になるとへいきん6~7年で社会生活不可能となり、10年程度で死に至ります。
次回は発症・進行の予防と治療についてのお話しです。
7月
13
2011
今日は認知症についてのお話しです。
認知症は65歳以上かたのじつに8%、226万人が罹患されています。そしてこれからさらに高齢化社会が進行していく日本にあって更に増えていくことは容易に想像できます。
○もの忘れいろいろ
認知症とひとくちに言っても、どんな事なのか正確に知っておられる方は少ないと思います。
例えば、一昨日のお昼ご飯は何を食べたか思い出してください。
なかなか思いだすのに一苦労という方も多いのではないでしょうか?これは“加齢関連認知低下”という加齢による当然の結果なので、何も心配ありません。人は大なり小なり“もの忘れ”という現象を持ちます。そしてこれらはいわゆる“老人ボケ”“痴呆症”と称される認知症とは関係がありません。
○正しい認知症の症状
では認知症とはどんな症状を呈するものなのでしょうか?
認知症の特徴は「最近の記憶があいまいになる」ということです。たとえば子どもの頃はどんな事をして遊んだか?は覚えていても、昨日何をしたかを覚えていないといった具合です。また生年月日は覚えていても、いま何歳かを覚えていない方も見えます。
認知症のあらましはお解り頂けたでしょうか。明日は認知症について更に新しい知見を加えてお話をします。
7月
12
2011
今日は前回に引き続き、心不全の症状についてのお話です。前回は心不全の症状の内基本的なものをお話ししました。今日は更に詳しく見ていきます。
○起坐呼吸
心臓が弱ってくると帰ってきた血液を送り出すことがしにくくなります。そのため患者さんは寝ているよりも座っていることを好むようになります。つまり心臓が高い位置にあることで血液を送り出すための負担を減らすのです。また同時に血液が返ってきにくくなります。そのことで心臓の負担が減るのです。
○夜咳をするようになります
ただし就寝後に咳を起こすのが心不全に該当します。それは横になることで血流に変化が起きて、肺に血液がたまって心臓に帰りにくくなるからです。そしてその状況が咳という症状を起こすのです。
なお、風呂上がりなどに起こすのは気管支ぜんそくの場合が多いです。
○食欲不振
一見胃腸は関係なさそうに見えますが、そんな事はありません。前回心不全の症状で“むくみ”が出ることをお話しましたが、むくみが進むと胃腸もむくんできます。そうなると胃腸の機能が弱って食欲不振になります。
○頚静脈が目立ってきます
これは心臓に血液が帰りにくくなるため、血液がいわば“渋滞”したために起こるのです。とくに座った状態で内頚静脈が見えるかどうかが簡単に見分ける方法であるといわれています。
前回よりさらに詳しく見てきましたが、いかがでしたか?
さらにいえば今回の症状・所見がある場合は、心不全でもかなり症状が活発な状況にあるといえます。
これらが見えた場合、速やかに医療機関に受診していただきたく思います。
7月
11
2011
心不全という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。今日はその心不全の症状についてのお話しです。
○心不全とは…?
ひとくちに心不全といってもどんな事が身体の中で起こっているのか、いまひとつつかめないでいる方も多いと思います。まずはそのお話しからしていきましょう。
○心臓の役目
心臓は身体中に血液を送るポンプの役目をしています。また身体中で不必要になった老廃物がまざった血液が帰ってくるところでもあります。つまり上・下水道場というわけです。
○上下水道場が壊れると…
ではその上・下水道場が壊れるとどうなるでしょうか?
まず、上水道場の機能が壊れると水が送れなくなりますね。これを心臓に当てはめると、身体の隅々まで血液がいきわたらなくなります。これを還流障害といいます。
これによって人は“疲れやすさ”や“手足の指先の冷え”などを感じることが多くなります。
次に下水道場が壊れると水を回収できなくなりますね。これを心臓に当てはめると血液が身体にとどまってむくんだり(浮腫)、息切れが起こったりします。
以上の症状は心不全の中でも基本的な所見です。ご家族の方でこのような所見がある場合は、医療機関に相談されることをお勧めします。
7月
10
2011
今日はとくにご高齢のかたで『慢性心不全』と医師に言われている方へのお話しです。慢性心不全を悪化させないために、どのように治療をすすめて行けばいいのでしょうか?
○近年の治療戦略の立て方
慢性心不全の病名で定期的に近所の病院にかかっている方は多いと思います。とくにお年寄りの方は心臓の機能が衰えてくるので、高血圧とともに慢性心不全という状況になっている方も珍しくありません。
では近年では、どのような治療の組み立てをするのでしょうか?
まずはご家庭での血圧測定により、血圧のコントロールをいたします。血圧が高いと心筋梗塞などを起こしかねません。
それとともに血液検査をさせていただきます。血液中のBNPという値を測定することで慢性心不全の治療戦略を立てるのです。
○BNPとは・・?
BNPとは脳性ナトリウム利尿ペプチドといい、心不全が酷くなるにつれてその値も高くなります。それゆえ現在では、心不全の程度と治療の効果判定に使われているのです。
○BNPをどのように生かすのでしょうか?
現在の日本の医療界では、BNPは100pg/mlを基準にしています。これ以上値が増えると“慢性心不全が存在している”と解釈します。そして胸レントゲンを撮らせていただき心臓が膨れ上がっていないか、心臓エコーで心臓の動きは悪くなっていないかを調べます。
また異常に値が悪かった方が治療によって低くなってきた際に、どこまで下げるといいかを判定する際にも用います。100pg/mlが基準といえど、人によって“正解”は違います。普段の生活における体調がどれくらい改善してきたかをお聞きするとともに、BNPを測定させていただいたり胸レントゲン・心臓エコーをさせていただいたりすることで、その方の“正解”を探すのです。
このように心不全治療は普段の体調と検査データーのすり合わせで、その人に合った
“正解”を探していくのです
7月
08
2011
今日はアルツハイマー型認知症の治療薬についてのお話です。
○以前より使える治療薬
アルツハイマー型認知症にドネぺシルという治療薬があります。しかしこの治療薬は軽症の認知症に効果があるだけで、進行してくると効き目がありません。というのも進行を遅らせる効果があるというものなので、進行してしまってからでは遅いのです。
○軽症認知症を感知するコツ
では、軽症の認知症はどのように見分ければいいのでしょうか?
どんな病気でも軽症の段階では見分けにくいものです。ましてやご家族は毎日接しておられるので、変化に気づきにくいものです。
そこで簡単な見分け方を紹介いたします。
「1分間に動物を10個以上言ってください」と聞いてみてください。
認知症が入りかけていると、10個がいえないものです。ただしここで注意が必要です。干支(えと)を言ってしまうと簡単にクリアーできてしまいます。
○新しい治療薬が発売されました。
最近認知症に新しい薬が発売されました。メマンチンという製剤で、ドネぺシルとは作用する部位が違います。そういう意味で新しく、また医療者再度にとって同時に使用できるというメリットもあります。
新薬登場で少しでも日本の認知症患者さまが良くなることを祈るのみですね。