6月 25 2011
子宮頚がんワクチンについての一考察
今日は子宮頚がんワクチンについてのお話の続きです。
現在国内で販売されているのはグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」という製剤だけですが、すこし疑問が残るところがあります。
○効果は16型と18型です。
サーバリックスは海外で開発された製剤です。海外において子宮頚がんの原因がヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)のなかでも16型と18型であることがつきとめられ、それに対するワクチンとして開発されました。
その後海外で劇的に有効性があることが証明され、日本に輸入されてきました。
○日本の子宮頚がん事情
しかし日本の子宮頚がんの原因菌は、多くは52型と58型です。
そうなると、サーバリックスは効果がない偽物じゃないか?ということになります。
○クロスプロテクションとは…?
ここで『クロスプロテクション』という言葉を覚えてください。
これは16、18型にしか効果がないはずなのに、他の型のウイルスの防護効果があるということです。しかし、現状では52,58型にクロスプロテクションがあるという報告はありません。
○想定外の型で発がんしました。
海外の研究でサーバリックスを接種したひとに、違う型が原因と思われる発がんが見つかったという報告があります。ただし16、18型は完全にブロックしていたそうです。
○ワクチンを接種しましょう
こうなるとワクチン接種の意味に疑問が残りますよね。
しかし私は接種をお勧めします。そのうえでしっかり子宮がん検診を定期的に受けられことをお勧めするのです。それはクロスプロテクションにわずかでも期待するのと、がん検診で漏れてしまったらどうするのか?ということです。
より強固にブロックする方法が一つ増えたと考えていただきたいのです。“石橋を叩いて渡る”ということですね。
子宮頚がんワクチンについて2回にわたってお話をさせていただきました。