5月
17
2011
前回は線維筋痛症の診断についてお話をしてきました。
今日は治療に焦点をあててのお話をします
○内服治療がメインとなってくるようです
線維筋痛症の治療は内服がメインとなってくるようです。
アメリカFDAが認可している3剤が効果があると言われています。抗けいれん薬のプレがバリン(商品名リリカ)とSNRIと呼ばれる群に属する抗うつ薬2種です。
しかし日本では使える薬が限られています。
○心の持ちよう次第で治療成績が変わってきます
線維筋痛症は発症するうえで2つのきっかけがあります。それは心因性のものと外傷によるものです。
そのうち心因性のものは家庭や仕事に問題を抱えている場合や、幼児虐待などの大変難しい問題があります。しかもこれらマイナスイベントを感情の内にしまいこんでいる場合、線維筋痛症は治らないと言われています。
○治療成績は良いと言われています
しかし、この難病も治療成績は良いと言われています。
とくに若い世代の患者さまは成績が良く、それだけに早く患者さまの心の闇を解放してあげる必要があると思います。
当院では線維筋痛症に対して内服治療その他をさせていただいています。
5月
16
2011
今日は線維筋痛症についてのお話です。
○多くの患者さまがお悩みのようです。
線維筋痛症は全身のいたるところが痛む病気で、日本人の200万人位が患っているそうです。主に中年女性に多い病気ですが、小児にも5%ほどいて不登校の原因になっているともいわれています。
○あまり知られていないのがネックです
この病名をご存じない方も多いと思います。医学書に登場したのも最近のことで、医師で知らない方も多くいることは事実です。よって患者さまは理解のある医師にたどり着くことが難しく、治療も満足に受けることが難しくなってしまっているのが現状です。
○アメリカの基準で判定いたします
線維筋痛症はアメリカの基準で診断致します。アメリカリウマチ学会が提唱している基準に照らし合わせて診断します。
それによると全身の9つの場所を左右対称的に合計18か所のうち、11か所が強く押したときに痛みを感じる場合陽性と判定いたします。
○症状はどのように進行してくるでしょうか?
始めのうちは押して痛い(圧痛)ですが、そのうちアロデニアという触っただけで痛いという状況になってきます。これに加え、眼や口が渇いたり下痢を起こしたり頻尿になったりします。
このような症状のため最初はうつ病・ヒステリー・睡眠障害といった別の病気や、詐病つまりウソをついているんじゃないかと言われてしまう患者さまもいるようです。
○検査上は何も異常は見られません
また血液検査やレントゲン・CTなどの画像検査では何も異常が見つからないことが殆どです。このことが上述のような誤診に結びつく原因にもなっているようです。
○しっかり区別しておきたい他の疾患は?
リウマチや目・口の渇きという症状を起こしやすいシェーグレン症候群、背骨付近の左右対称の痛みを起こしやすい脊椎関節炎、そのほか甲状腺機能低下症などです。
今日は線維筋痛症の診断を中心にお話ししました。次回は治療についてのお話です。
5月
13
2011
糖尿病は年齢を問わず広がっていることはご存知かと思います。しかし糖尿病の治療方針は若い方と高齢者では違うことをご存知でしょうか?
今日はその中でも、高齢者の糖尿病の治療のお話です。
○ガイドラインでも謳われています
日本糖尿病学会のガイドラインでは糖尿病のコントロールを高齢者の場合HbA1Cの値で7%未満、空腹時血糖を140mg/dl未満にコントロールしましょうという基準があります。若い方の糖尿病はいずれも6.5%、130mg/dlで、少々基準を甘くしています。
○低血糖が危険です
糖尿病の方に注意していただきたいことが、治療の過程で起こってくる低血糖です。
高齢者では低血糖が若い方に比べて起こりやすく、また起こった際の警告症状が乏しいという特徴があります。つまり本人のみならず、ご家族も低血糖に気付かないという状況が生まれます。その結果脳血管障害や虚血性心疾患、転倒による骨折や硬膜外血腫を起こしてくるということになります。
○認知症の原因となりうるのです
最近糖尿病が認知症の原因となりうるという研究結果が出てきています。しかも低血糖を起こすことで認知症が進むということも言われており、治療は大切であるということです。
○治療の方向性は
高齢者の治療の方向性は動脈硬化などの他疾患に注意しながら、時間をかけて緩やかに下げていくことが重要であるということがはっきりしました。
また腎臓の機能にも注意をせねばなりません。高齢者は腎機能が低下気味なので、薬の量や種類の選択が重要です。
今日は高齢者の糖尿病についてでした。
5月
12
2011
今日は腰痛と消化器疾患のお話です。腰痛は極めてありふれた訴えで、日本人の訴えの中で最多とも言われています。しかし、腰痛だからといって必ずしも腰が悪いとは限りません。腰の前にはお腹があり、お腹由来の痛みが腰に波及した結果腰痛を引き起こすことがあります。
今日はその腰痛を引き起こすお腹の疾患のお話です。
○お腹の奥の方の疾患が多いようです
腰痛を起こすお腹の疾患は、やはり消化器系統の疾患が多いようです。そのなかでも比較的お腹の奥の方、つまり腰に近いほうの疾患に多いという結果が出ています。当然といえば当然で、これはみなさんも比較的想像しやすいのではないでしょうか。
具体的には膵臓の疾患が多く、膵臓癌や慢性膵炎といった疾患をイメージしてください。
○大腸疾患も腰痛を引き起こします
先ほどはお腹の奥の方の疾患ということでしたが、大腸にも腰痛を起こす場合があります。大腸憩室という疾患がそれで、大腸に陥没が出来てしまいそこに炎症が起こると激しい痛みを起こします。その際に腹痛を起こすことが多いのですが、腰痛で発症することもあるのです。
また虫垂炎(盲腸)も腰痛を起こすことがあります。人によって虫垂が大腸の裏側、つまりお腹の深い所に廻りこんでいる場合があり、その結果腰痛を起こしてきます。
○抵抗力の低い方の疾患です
糖尿病の方やリウマチなどでステロイド・免疫抑制剤などを服用されている方は相対的に抵抗力が落ちています。そのような方は腸内細菌が腸外に出てしまい、周囲の筋肉(腸腰筋)についてしまいます。その結果腸腰筋膿瘍という症状を引き起こし、腰痛を発症します。腸腰筋はお腹の奥の方にありますから、腰痛を起こしてくるわけですね。
○悪性腫瘍が関係する場合があります
消化器の悪性腫瘍が末期に差し掛かり、背骨に転移すると痛みを感じます。とくに腰骨に転移すると当然腰痛になるわけです。背骨に転移するのは大腸がん・胃がん・膵臓がん等が多いです。
またリンパ節に転移した場合にも腰痛を起こすことがあります。
転移したことによって腫れあがったリンパ節が周囲の神経を圧迫して、痛みを発生させるのです。
このように腰痛は腰が原因とは限りません。『腰が痛くて最近は食欲も進まない…』という方は痛くて進まないのではなく、消化器疾患があって食欲がすすまなくなっていて、更に病気が進行して腰痛まで出てきた…という考え方もされる必要もあると思われます。
5月
11
2011
今日は深在性真菌症のお話です。なかなか聞きなれない名前ですが、身体の深いところに感染してしまった真菌症というふうに理解できるかと思います。真菌とは“カビ”ですから、「身体の深い所にカビが生えてしまった」ということになります。
○カビといえば…
カビといえば一番身近なのが“水むし”です。水むしは真菌の仲間であり、真菌には多くの種類が存在いたします。その仲間の中で、身体の奥に入り込んでしまう種類があるのです。
○どんな種類があるのでしょうか?
真菌の種類のうち代表的な物はニューモシスチスイベロチー、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカスです。そのうちクリプトコッカス以外は健康な人には感染しにくいという特徴があります。
○肺炎と敗血症が起こります
では、どんな症状が起こるのでしょうか?
これら真菌は主に肺に感染します。よって肺炎を発症することが多く、更には敗血症に移行することがあります。
○どんな人に起こりやすいのでしょうか?
基本的にはガンや免疫抑制剤を投与するなどの、免疫力が抑制された方等に起こります。
つまり、健常な方では寄せ付けないような微弱な菌である真菌にすらやられてしまうような状態にあるという方が感染・発症してしまうのです。
今日は簡単に真菌症のお話をさせていただきました。
5月
10
2011
今日はご存知メタボリックシンドロームについてお話です。
○基準を覚えていますか?
メタボリックシンドロームの基準を覚えていますか?
以前に“これはおかしいんじゃないか?”という議論がありましたが、さてその基準値どれだけの人が覚えているでしょうか?
ウエスト周囲を計測して男性は85センチ、女性は90センチというのがメタボリックシンドロームの基準値でした。
○メタボリックシンドロームになりやすい人とは…?
では、メタボリックシンドロームにおちいりやすい人とはどんな人なのでしょうか?
まずは生活習慣があげられます。生活習慣が悪い、つまり食べ過ぎや運動不足です。
○生活習慣を改善しましょう
では、どんな生活習慣がいけないのでしょうか?
肥満とは、食べたカロリーを十分に消費できないことですから、食べる量や内容を改善するか運度量を増やすことが挙げられます。
食べる量についてはもはや言わずもがなと思われますが、内容については考えなくてはなりません。脂肪そのものもさることながら、甘い食べ物は中性脂肪に変換されるので要注意です。
○メタボリックシンドロームになりやすいのは誰?
一方、メタボリックシンドロームになりやすい人がいます。
これは女性ホルモンに少ない人、つまり男性や閉経後の女性です。女性ホルモンは内臓脂肪をつきにくくしてくれる作用があるようです。
そしてもう一つは家系です。どうやら太る体質というものがあるようで、両親がメタボリックシンドロームならば、ご自身も気をつける必要があるようです。
○1日8千歩あるきましょう
では摂取したエネルギーを消費するにはどうしたらいいでしょうか?
日本人には現在1日8千歩あるくことが良いと言われています。これはしっかりとしたデーターに裏付けられている数字で、信用度の高いものです。
きょうはメタボリックシンドロームのお話でした
5月
09
2011
近年、高齢化社会になってきて懸念されていることのひとつが、結核患者さんが増えつつあるという点です。かつて結核菌が体内に入り(結核を発症しているかどうかは別)そのまま保菌していて、年齢とともに抵抗力が下がってきたことにより菌の勢いが勝ってしまったことによります。
○新しい検査方法で確実に検出します
結核の検査はかつてツベルクリン検査が主体でした。しかし、この検査に用いる薬品自体に結核菌以外の菌が混ざっており、確実な検査ではありませんでした。
そして最近新たな、しかも大変優秀な検査方法が開発され実用化されました。
○クォンティフェロンという検査が実用化されています
最近クォンティフェロンという検査が実用化されました。これは患者さまから血液を採らせていただき、検査センターに提出します。従来のツベルクリンと違って、何度も医療機関に来ていただく必要がありません。
○感度特異度ともに優れた検査法です
この検査は感度が高く(ある検査について「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率が高いという意味)、特異度も高く(「陰性のものを正しく陰性と判定する可能性が高い」、あるいは「陰性のものを間違って陽性と判定する可能性が低い」という意味)なっています。ただしこれは結核が強く疑われる場合であり、感染の可能性が低い方には威力を破棄しません。
○その他の弱点
さらには過去の結核菌感染を拾ってしまう場合が多いので、高齢者の方にはさらなる他の検査が必要になってきます。また5歳以下の方の感度が悪いので、勧められません。
最近は結核を取り巻く環境も変わってきました。入院期間も少なくなり、かつてのような長期間の入院も必要なくなっているのです。
しかし、無くなったわけではない、いまだ人類の脅威となっている疾患です。
5月
09
2011
ヘリコバクター・ピロリ菌という言葉をご存知の方は多いと思います。子どものときに胃の中にすみついて、後々悪さをしてくる菌です。
近年、このピロリ菌が今まで知られていた以上に悪さをすることが分かりました。
今日はピロリ菌がどんな影響を及ぼすのかのお話です。
○消化性潰瘍の原因となります
これはもうご存知かと思いますが、潰瘍の原因となります。胃の粘膜に影響して、潰瘍を起こすのです。
○リンパ腫を改善します
リンパ腫の中でも『マルトリンパ腫』という種類のものを起こしてくると言われています。この腫瘍は良性経過をたどることが多いのですが、時に悪性転化することもあるので見逃せません。このマルトリンパ腫の初期の段階でピロリ菌を除去すると、腫瘍が治ってしまうのです。
○特発性血小板減少性紫斑病を改善します
小児の怖い病気のひとつで『特発性血小板減少性紫斑病』というものがあります。この病気の児の除菌を行うと、それこそ劇的に良くなるということが分かってきました。しかし、どうして良くなるのかまでは分かっていません。
ピロリ菌は小児期に経口感染します。しかし、もともと体内にあった菌ではありません。
これは我が子可愛さのあまり‘口移し’で食事を与えることが原因となっているのです。
これら以外にも色々な疾患の原因となるピロリ菌。国民すべてが除菌をしてもいいのではと思えてきます。
5月
02
2011
近年結核が広がりつつあるのをご存知でしょうか?97年から2年続けて患者数が増えて、厚生労働省は『結核非常事態宣言』を出しました。
きょうはその結核の話題についてです。
○強力な菌に変貌しています
近年我が国で流行っている結核菌は“北京株”というタイプのもので、感染力が強く耐性化しやすいという特徴を持っています。しかも若者に感染しやすく、若者は行動力があるために蔓延する恐れがあり、やっかいです。
○2週間以上の咳は…
では、どんな時結核を疑うのでしょうか?
現在の国際基準では2週間異常続く咳は疑うとされています。2週間以上続く咳は喀痰の塗抹検査をして、陽性であれば結核かその仲間(非結核性抗酸菌)であることがわかります。
さらには喀痰の遺伝子検査で結核かその仲間なのかを確定していきます。
○最近の感染に対しては…
近年新しい検査法が登場してきました。血液検査で行う方法でクオンティフェロンといいます。この検査は“最近の感染”をしたかどうかを知る上で有用で、93%とかなり精度の高い検査です。
ツベルクリン反応はこの検査より精度が劣るということが分かってきましたので、その使命を終えたのかもしれません。
○治療期間は…?
治療期間は国際的な基準で6~9ヶ月となっています。
しかし、本当に治ったのか?菌をばらまいていないかを知るには喀痰をその都度調べて、検出されなくなったら治療終了というわけです。
結核といえば大変怖い病気です。現在は有効な治療法も確立しているのでしっかり治したいものですね。
5月
01
2011
今日は前回に引き続き、全身性強皮症(全身性硬化症)の検査・治療について
のお話です。
○血液検査が重要です
全身性強皮症(全身性硬化症)を診断する際に大切なのは血液検査で抗核抗体を測定することです。これにより90%以上は診断が確定します。
○合併症が重要です
全身性強皮症(全身性硬化症)は合併症が有るか無いかがとても重要になってきます。というのも、皮膚が硬くなっただけでは生命に危機は訪れません。問題は生命に関係する合併症があるかということです。
それは内臓とりわけ肺に合併症があるかどうかです。肺が硬くなって呼吸に問題が生じるからです。これはびまん性に病変が広がる型の場合に起こってきます。
○有効な手立てが乏しいのが現実です
治療はステロド療法や免疫抑制療法です。
残念ながら生命予後を改善するに足る治療法ではありませんが、一方でこわばって生活がままならないといったQOLを改善する効果があることがわかっています。
しかし発症早期から投与しないと効果がないことが多く、なかなか稀少で診断しにくいこの病気の啓蒙が必要といえるのかもしれません。
患者さんの数が少ないためデーターがとりにくく、したがって有効な手段も見えにくい病気です。早期に良い手段が発見されることを望むばかりです。