8月 14 2010
腹圧性尿失禁~咳やくしゃみだけでおし子が漏れてしまう方へ~
咳やくしゃみ、急に駈け出したときや重いものを持った時なでにおしっこを漏らしてしまう方が見えます。これを腹圧性尿失禁といい、ご本人にとってはデリケートな部分だけに大きな問題となっているようです。
今日はその腹圧性尿失禁のお話です。
○女性に多い病気です
この病気は出産時に骨盤の筋肉がゆるむことで我慢しきれなくなってしまうというパターンが多いようです。当然、女性に多い病気なわけですが、男性でも前立腺がんや前立腺肥大症にて尿道括約筋が損傷された場合起こってきます。
○切迫性尿失禁と区別が必要です
脳梗塞やパーキンソン病などが原因で、自分の意思とは無関係に膀胱が収縮をしてしまい、尿が漏れてしまう状態のことです。病態が全く違うので注意が必要です。
しっかり区別するにはご自分の症状をしっかり伝えていただくことが一番大切なようです。
○まずはトレーニングが必要です
治療法はまず筋肉を鍛えるトレーニングをしていただきます。これだけでも7~8割の方に改善がみられます。膣と肛門を閉める運動ですが、テレビを見ながらでもできるので簡単です。
それと、体重をコントロールすることが大切です。しっかりと体重のコントロールをした方とそうでない方とでは、治療成績に差があったという結果が出ています。
○電気刺激治療とは…?
外陰部に微量の電気を流すことで筋肉を収縮させて、その結果筋肉が鍛えられて失禁を防ぐものです。保険の関係上なかなか広まらない治療法ではあります。
○お薬の治療法は…?
トレーニングなどで効果が見られない場合、お薬の治療を考えることになります。主に交感神経を刺激する薬を使います。ただしこのお薬は物が二重に見えたり動悸がしたり、手が震えたりといった副作用があるようです。
また抗うつ薬や漢方薬にも、一部効果がある薬があるようです。
○手術も有効な手段です
手術は患者さまの希望によっておこなわれることが多くなっています。ただし失禁の程度を測るテストで重症と判定された方には医師側から手術を提案させていただくこともあります。
なお手術後の再発率はとても低く、9割の方が満足いく結果を示しています。
なかなかデリケートな話題です。恥ずかしくて医師に話しにくい場合があるかと思います。でも一歩踏み出さない限り改善はありません。勇気を持っていただけたらと思います。
